枕崎行の列車が入線し30~40人の乗客が乗り込みパラパラと席を取る。自分は最後尾に陣取り、立ったり座ったりして後方に流れゆく景色を眺めることにする。それにしてもう何か月も洗車をしてないように窓が汚く、外の景色がソフトフォーカスのようなのは桜島の灰がくっつくせいなのだろうか?
この路線に乗るなら席は海側に限る。錦江湾の彼方には噴煙たなびく威風堂々とした桜島とそれに連なる大隅半島の山々、そして海と空が青のグラデーションを描く。指宿近くまで列車がカーブを曲がる度に桜島が横に見えたり後ろに移動したりして見ていて飽きない。ディーゼルの音を響かせ走るキハ47に思わず六角精児バンドの歌「ディーゼル」が脳内でヘビロテする。途中の宮ヶ浜駅近くでは長渕剛ゆかりの地というでかい看板が目についた。なんでも母親がこの地の出身で子供の頃ここで海水浴などして遊んだらしい。またグーグルマップを見るとかつてネッシーをパクったイッシーが生息すると話題になった池田湖も西へ10キロくらいだ。
指宿は有名温泉地だけあって何人かの乗客が下車。残った少ない乗客のほとんどはここから3つ先の日本最南端駅の西大山駅を目指しているのだろうか?次の山川駅から列車の本数はぐっと減って枕崎への下りは一日7本となってしまう。そしてこの列車の次は2時間後だ。やがて目の前に開聞岳が全貌を現し真っすぐに伸びた線路の先に最南端駅が見えると、驚いたことに小さなホームはスマホを構えた人たちでいっぱいだ。
列車は警笛を鳴らしながらホームに滑り込む。
続く
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