楽しい日々

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洗い張り

2013-05-20 08:54:23 | Weblog
息子と訪れた 佐々木信綱記念館に 文机があった。
その文机は 洗い張りをするときに使う板に
幅も厚みも似ていた。
祖母の使っていた 洗い張りの板の 丁度半分のサイズにみえた。

思い起こしたのは 
祖母の洗い張りをする姿だった
夏まえに 寸法があわなくなった浴衣をすべてほどいて
夏になる前に おおきくなった私のサイズに 縫い直しをしてくれた。

当時は 小さかったし 今まで 思い出すこともなく生きてきた。

でも 文机の板は 私に語りかけてきたのだろう。

髪に 針の先を撫でつけ すべりやすくし
急いで夏までに 家族の着物を何枚も縫い直す
祖母の お針をする手を 映像で見ている自分がいた。

昔のことだから 祖母は小学校しかでていなかった。
でも 算数もできたし 縫物も 早くてあらくぬってあるのに
きくずれしなかった。

編み物も 
停電でまっくらでも ひとつも目を落とすことなく 
今では スパッツにあたる ズボン下を 一日で編みあげていた。

見よう見まねで 仕事を教わり
遊びのなかで 体験しながら  心をこめてものをつくることを
日本女性は 伝え続けてきていた。

言葉による 文字に頼る世界観とは 違っていたのではないだろうか。

姑が 御婆さんは 字が読めなかったけれども いろいろな手順や
行事の算段を よーく覚えていて
文字がかけて 文字に書いてしてしまうと お前さんたちは 忘れてしまうのではないのか。

よくいわれたという。

算数の割合が理解できていないと ニュースで子供の状況を報告していたけれど
羊羹を 家族で何度も切りわけたり お米をといで 今日のお客様の人数にあわせ
米を 窯で炊いたりすれば 
割合のイメージや 量の計算など
すぐにできるようになる。

洗い張りは もうしない人も多く
着物をお召しになっていても 五十代以上になっても
足先が開いた立ち居振る舞いで 日本の着物の美しさも 半減している。
襟足をいかした 所作も もう イメージさえ持たない。

でも
せめて 細やかさ しなやかさ 辛抱強さ 上品な心づかいは
これからの時代にも 日本のよさとして のこしていきたいと 
残してほしいと うかんだ洗い張りの祖母の姿は いっているようだ。