






歴史の舞台 『 出島 』 。
その傍らにたたずむスリムな現役トラス。
■ 所在地 / 長崎県長崎市出島町・江戸町
■ 竣工 / 1890年 ( 明治23年 )
■ 架設監督・技師 / 岡 実康
■ 選奨土木遺産
現役の道路橋としては日本最古の鉄製橋梁がオランダ商館跡で有名な
史跡 「 出島 」 の傍らで頑張っている。
スリムな鋼材とシンプルなトラスが特徴的で、
唐草模様の装飾や縁起のいい蝙蝠 ( コウモリ ) 型の銘板が誇らしげに
行き交う人と車を見下ろしている。
鋼材はアメリカ製を使い、先端技術で架橋された橋である。
原爆にも耐えたこの橋は、出島とともに未来に継承したい遺産である。
もともと中島川の河口に新川口橋として架けられた橋である。
鉄材をアメリカから輸入し、ボルトを使ってピンを結合した
プラット・トラス橋が組み立てられたのは明治23年のことである。
その後、明治43年に現在の場所に移動され、出島橋と改名された。
以前この位置には、木と鉄を混用したトラス橋が架かっていたが、
その老朽化によって新川口橋が移設されたわけである。
現在も自動車や歩行者が絶え間なく通る、わが国最古の現役鉄橋である。
史跡として復元された出島から見ると、この橋のスマートさがよく解かる。
細い鋼材がバランスよく組まれたトラス。
細部に装飾を施し、歴史的環境に違和感なく溶け込む姿は、
まさに 「 もうひとつの出島 」 である。