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護衛艦きりさめ搭載ヘリコプターのSH-60Jの乗員はパイロット2名と、
レーダーやソナーを操作するセンサーマン(兼降下救助員)と呼ばれる航空士1名で運用される。
護衛艦の戦闘システムの一部であるため、CIC(戦闘指揮所)と
SH-60Jはデータリンクを通じて任務を遂行する。
データリンクによって、SH-60Jのレーダー画像、ソノブイ信号などを護衛艦に伝送して、
SH-60Jのレーダー画像を護衛艦でも直接見ることができる。
すなわち、SH-60Jは、護衛艦から発進した時点で空飛ぶレーダーサイトとなり、
護衛艦周辺の艦艇や航空機、近接する敵ミサイルを探知する。
また、レーダー画像の調整は護衛艦からも行なえる。
護衛艦の哨戒長は、SH-60Jに捜索パターンなどの作戦行動を指示して、
自艦の索敵能力を飛躍的に向上させることができる。
対艦索敵任務を受け持つSH-60Jは、強力な索敵手段であることから
「エアボーンパンサー(大空を翔る豹)」と呼ばれる。
ESM逆探知装置も有力な索敵手段であり、敵性電波を傍受したならば、
瞬時に目標を判別し発信位置を特定することができる。
SH-60Jの副操縦士は、P-3Cの戦術航空士と同様の任務も担当する。
操縦の補佐以外にも効率的な任務遂行のため、
CICと連携してリコメンド(提言、進言)を機長またはCICに与える責任をもつ。
SH-60Jは1機種で広域哨戒用のソノブイと、位置極限のためのディッピングソナーを運用する。
航法機器も充実しているため、暗夜での超低空オペレーションが実施可能である。
護衛艦に搭載され、データリンクを通じて艦側戦闘システムの一部に組み込まれている、
との意を込めてHS(ヘリコプターシステム)と呼称されている。
艦載ヘリとして運用するためRAST(着艦拘束装置)が備えられ、降着装置も強化された。
また、HF無線機、増槽タンク、FLIR(赤外線暗視装置)、
74式機関銃、旧型GPS、自機防御システム(チャフ、フレア)も追加装備されている。
捜索救難用器材ついては、サーチライトとホイストライトや救難用ウインチがあり、
吊り下げ輸送用のカーゴフックも装備している。