その八角形のトンネルは二俣橋の上方にある。
かつて熊延鉄道のトンネルとして造られたコンクリートのトンネル。
それはボルトを並べたような他に例を見ない独特な形をしている。
トンネルがある熊延鉄道は、熊本市内の南熊本駅から
宮崎県延岡市への鉄道敷設をめざして大正4年(1915)に着工したものである。
だが昭和7年(1932)に砥用町まで到達したが建設は中断され、
自動車の普及により経営が悪化し昭和39年(1964)に廃線となった。
廃線から50年以上になるが、廃線跡にはトンネルや橋脚など残っている。
国道443号線を南下して津留川を渡る直前で左折し、
二俣橋方向へ町道を進み、300mほど進むと町道から左へ砂利道が分岐している。
これが廃線跡になる。
そこからさらに300mくらい進むと八角形のトンネルがある。
両側の崖の崩壊を防ぐためならコンクリートの切り通しでよいと思うが、
この方が強度があるのだろう。
強度もさることながら、ボルトを並べたような造形が独特で美しい。
案内標識も何もなく山中にひっそりと眠っている姿はある種、不気味だが、
多くの人が訪れる観光地と違い、そこがこのトンネルの魅力なのかもしれない。