




媽祖行列の祭官である直庫(てっこ)は、鉄の長い棒を持ち、それで魔を振り払う。
その舞いはカッコイイというか、憧れる。
媽祖行列の具体的な様子だが、
香江(ひゃんこん:菩薩役の唐人)が2箇の燈籠を先に立て左右に並び、
次に銅鑼をもつ(二人左右に並び持つ)、や
直庫(てっこ)と呼ばれる赤い布を結んだ棒を持つ唐人が並ぶ。
その次に媽姐の像(多くは木像であり、
後ろから団扇(うちわ)をさしかざしている)を安置した輿がつづく。
左右に侍女の像、或は前に千里眼、順風耳の像、或は神虎を置いてある場合もある。
神虎は土神の使いだといい唐人屋敷では土神廟の中にある。
これらの像を台上においている。
輿の両側には旗を持つ唐人やその後には蓋傘を掲げる唐人らがいる。
その後には唐人や唐通事や唐人番などの役人がつづく。
道中、十字路に至るごとに銅鑼が鳴らされ、
その進行方向に向って盛んに直庫が振られる。
直庫を執る者は長袖の黒(紫)衣を着、黒帽を被っている。
唐寺に到着しても同様で、山門、中門、や関帝堂、媽姐門、媽姐堂の前などで銅鑼が鳴らされ、
盛んに直庫が振られる。
もし人が誤ってその前を横切れば改めて振り直しを行った。
その後、媽姐や直庫を媽姐堂に納めて、唐人たちは唐人屋敷に帰る。
以上は唐船入港の際の菩薩得げ(菩薩卸しともいう) の儀式の大要であるが、
いよいよ出港ということになると、今度は預けた媽姐像を唐寺から受け取って、
これを唐船に載せて船内の菩薩棚に安置する。これを菩薩乗せといい、
菩薩揚げと菩薩乗せとを併せて ″菩薩乗せ卸し″と称した。
菩薩乗せの際の儀式も菩薩揚げのそれと大差はないが、
ただ直庫の振り方が趣きを異にしたという。
なお唐寺では唐船の媽姐像のため、媽姐堂にとくに壇が設けられてそこに像を安置した。
その壇の戸には、干支及び何番船などとしたためた白紙を貼付したものであるという。