先日、三本目のビュルガーガルテンを開けた。二カ月ぶりである。今回は、苦味がポメロの香り系になって、徐々に柑橘系がチェリーに取って代わってきている。要するにヨード味から徐々にフルーツ系へと熟成してきている証拠である。出来上がりとしては、2014年産のこの時点ではドイツのリースリングとしてトップクラスではないだろうか?
正直、この価格であの醸造法でここまで漕ぎ着けたのは意外でしかない。苦味が出ない様に上手に摘み取れたと醸造親方が自慢していたが、酸の出し方が絶妙になってきている。以前ならば薄っぺらくとも酸が爽やかで気持ちよいと思っていたオルツヴァインのギメルディンゲンなどが初心者向きのリースリングになってきている。本物志向のリースリングが作り出されてきている。恐らく、2014年産はまだまだミュラーカトワール醸造所が話題になるだろうが、とても割安なグローセスゲヴェックスなども数年後が期待できるワインになってきている。
新聞にドイツの醸造所の新たな試みが大きな記事になっていた。それによると、フライブルクSCのオーナーがカイザーシュトュールで購入した醸造所を舞台に、ディスカウントショップでワインを販売する試みが成功しているというのである。所謂大量消費型のスパーマーケットチェーンのアルディーなどに高級ワインVDPの醸造所が下すのは初めてのようで、6ユーロほどの商品を出しているというのだ。既に日本でも販売されているらしい。
そもそも現在のVDPは、グローバル化の波の中で、大量生産のフランスやスペインからのワイン、そして世界最大のワイン輸入国として南北アメリカ大陸からのワインの津波の中で高級ワインとして生き残る道を指示している。その中で、そうした市場でなにが出来るかということになる。世界最大の醸造所ガロのワインの横にドイツのワインが並ぶこと自体がスキャンダルなのである。
ワイン街道でも知らぬうちに有名醸造所の持ち主が変わってしまっていて、こうした記事を読むことで初めて気が付くことが少なくない。世界的に有名なコンサルタントのフィリッピのケーラー・ルプレヒトも米国人実業家の手に落ちてVDPから除外され、フリッツ・リッター醸造所などもダルムシュタットのメルク社のオーナーの所有になっている。彼が、「少なくともシナ人の手に落ちるよりはましだろう」と言うのは、ある程度正しい。
何よりも重要なのは継続性であって、品質には一代の投資感覚では到底目標に至らない。最低葡萄がまともに育つようになるには十年ほどの手入れの継続が必要になる。たとえアルテレーベンなどの古い木を使っていても、手入れせずには真面な結実とはならないからで、そして毎年必要な量の収穫のためにはアルテレーベンだけでは生計が立たないのである。要するに十年単位で全体の質を上げていくしか方法が無い。
なるほど、投資家的な感覚では最初に何でもよいから安いワインで生計を立てて質の向上を余裕で目指そうとするのかもしれないが、そのようなことでは絶対質が上がらないのが醸造所経営なのである。次世代のための経営しかそれに報いる方法はないというのがワイン醸造業であろう。
参照:
栗ザウマーゲンのXマス 2014-12-27 | 暦
これもリースリングの神髄 2016-01-06 | ワイン
デキャンテ―ションしようよ 2015-10-27 | 試飲百景
フランススーパー売りのワイン 2012-10-09 | ワイン
正直、この価格であの醸造法でここまで漕ぎ着けたのは意外でしかない。苦味が出ない様に上手に摘み取れたと醸造親方が自慢していたが、酸の出し方が絶妙になってきている。以前ならば薄っぺらくとも酸が爽やかで気持ちよいと思っていたオルツヴァインのギメルディンゲンなどが初心者向きのリースリングになってきている。本物志向のリースリングが作り出されてきている。恐らく、2014年産はまだまだミュラーカトワール醸造所が話題になるだろうが、とても割安なグローセスゲヴェックスなども数年後が期待できるワインになってきている。
新聞にドイツの醸造所の新たな試みが大きな記事になっていた。それによると、フライブルクSCのオーナーがカイザーシュトュールで購入した醸造所を舞台に、ディスカウントショップでワインを販売する試みが成功しているというのである。所謂大量消費型のスパーマーケットチェーンのアルディーなどに高級ワインVDPの醸造所が下すのは初めてのようで、6ユーロほどの商品を出しているというのだ。既に日本でも販売されているらしい。
そもそも現在のVDPは、グローバル化の波の中で、大量生産のフランスやスペインからのワイン、そして世界最大のワイン輸入国として南北アメリカ大陸からのワインの津波の中で高級ワインとして生き残る道を指示している。その中で、そうした市場でなにが出来るかということになる。世界最大の醸造所ガロのワインの横にドイツのワインが並ぶこと自体がスキャンダルなのである。
ワイン街道でも知らぬうちに有名醸造所の持ち主が変わってしまっていて、こうした記事を読むことで初めて気が付くことが少なくない。世界的に有名なコンサルタントのフィリッピのケーラー・ルプレヒトも米国人実業家の手に落ちてVDPから除外され、フリッツ・リッター醸造所などもダルムシュタットのメルク社のオーナーの所有になっている。彼が、「少なくともシナ人の手に落ちるよりはましだろう」と言うのは、ある程度正しい。
何よりも重要なのは継続性であって、品質には一代の投資感覚では到底目標に至らない。最低葡萄がまともに育つようになるには十年ほどの手入れの継続が必要になる。たとえアルテレーベンなどの古い木を使っていても、手入れせずには真面な結実とはならないからで、そして毎年必要な量の収穫のためにはアルテレーベンだけでは生計が立たないのである。要するに十年単位で全体の質を上げていくしか方法が無い。
なるほど、投資家的な感覚では最初に何でもよいから安いワインで生計を立てて質の向上を余裕で目指そうとするのかもしれないが、そのようなことでは絶対質が上がらないのが醸造所経営なのである。次世代のための経営しかそれに報いる方法はないというのがワイン醸造業であろう。
参照:
栗ザウマーゲンのXマス 2014-12-27 | 暦
これもリースリングの神髄 2016-01-06 | ワイン
デキャンテ―ションしようよ 2015-10-27 | 試飲百景
フランススーパー売りのワイン 2012-10-09 | ワイン