Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

フランクフルトにやってくる

2019-03-09 | 
ベルリナーフィルハーモニカーのティケットを購入した。来年2月20日のアルテオパーでの公演だ。先に発表されたハノヴァーと同じプログラムのようで、ブラームスの「悲劇的序曲」から始めて、ベルント・アロイス・ツィムマーマンの「アナゴアーナ」休憩後にラフマニノフ「交響的舞曲」で〆る。上手く行けば初の国内ツアー公演なのでアンコールもあるかもしれない。比較的名曲プログラムだが、我々ペトレンコケンナーとしては可成り手強い。

今もフランクフルトのバッハの会員なのだが、それゆえにアルテオパーの催し物一斉発売の時に手を付けたことは一度もなかった。だからスクロールしていると欲しい出し物が出てくる。先ずは会主催のヘルヴェッヘ指揮のゲントのアンサムブル50周年記念公演である。これも外せない。そしてフランクフルトで行くことに価値がある。それは楽団との関係でもあり私もそこで色々と教わったからである。元々はアルフレッド・ブレンデルのリサイタルシリーズが目当てだったのだが、目ぼしいバロック奏者や歌手は一通りそこで聞けた。その間、大管弦楽団の演奏会は横目に見ていて単発でバーデンバーデンを中心に出かけていたぐらいだ。

そして今回、キリル・ペトレンコ指揮の初のツアー先として先ず手を付けた。他にどこを回るか知らないが、バーデンバーデンは無いので、近辺では精々シュトッツガルトかルクセムブルクだろう。後者の場合は音響的に考えるが、異なるプログラムでなければ前者のリーダーハレにまで出かける必要もない。有難いことである。更に入場料金も比較的お得で、音響にも全く問題が無いどころかどのように鳴り渡るかとても楽しみだ。

因みに二千人以上を開放するのはヴィーナーやベルリナーなどそしてラトル指揮ロンドン交響楽団、ユロウスキー指揮ロンドンフィル、サロネン指揮フィルハーモニアなどで、他の所謂一流下の管弦楽団はゲントのアンサムブル同様後ろを閉めて千数百人規模で公演する。ヤンソンス指揮BR放送交響楽団、フルサ指揮バムベルク、バーミンガム響、ティーレマン指揮シュターツカペレドレスデン、パパーノ指揮サンタチェチーリアなどは入らないからだ。ヤルヴィ指揮ブレーメン室内管のベートーヴェンツィクルスが大会場を四晩も抑えているのはレパートリーや企画性もある。

余分に購入したのは後任のミュンヘンの音楽監督ユロウスキー指揮のロンドンフィルハーモニで、ショスタコヴィーッチの11番とプロコフエフのピアノ協奏曲三番である。暮れのために買ったベルリンの放送管弦楽とはまた異なるものを聞いておきたかった。常連であるが前回は名曲プロで更に高価だった。今回は30ユーロでお手頃価格になっている。

ベルリンからの中継、初日を聴いた。先ず何よりもシェーンベルクがよかった。予想そのままで、コパンチンスカヤの独奏に寄り添う形がとられたが、あまりにも立派だった。手元のメモには10ヶ所くらいのポインツがリストアップしてある。殆どは肯定的な点である。二楽章の独奏も素晴らしく、カデンツァも特に三楽章のそれは聴き直さないといけないと思う。それ以外にもアダージョに入る前に思い切ったアッチェランドを掛けていて、恐らくこの曲の演奏史上最も表現が強かったと思う。

しかし何よりも声を上げてしまったのは、そのテーマが綺麗に透けて浮かび上がってくるところで、休憩時間に流れた独奏者のインタヴューではないが、本来ならば執拗に一定のテーマが聞こえてはいけないのだろうけどとはいうが、あの黄金の牛のようなメロディーなど重要なテーマは幾つかある。しかしそれが対位法の網目を通して浮かび上がると声が出てしまう。

流石にこのような網の目の浮かび上がり方はミュンヘンの座付管弦楽では難しいなと思った。それでも独奏者が語るようにペトレンコの魔法のような付け方であって、要するに彼女も驚いているのは確かだ。その一方入念に合していなかれば到底不可能な運びもあって、やはり昔の同窓生同士でよく打ち合わせが出来ている。

第一ホルンにリハーサル風景を見るとミュンヘンのデングラーが座っていたようで、最初に独奏者が登場してのオーボエの音合わせも含めて、大きな影響を与えていた。まさしく彼のホルンの音こそがキリル・ペトレンコが求めるベルリナーフィルハーモニカーの音だと思う。それは独歴史的伝統配置には必要不可欠なサウンドである。朝のベルリンの放送局での批評もその木管、金管のアンサムブルに言及していて、まさしく新生ベルリナーフィルハーモニカーに求められている世界クラスのアンサムブルなのである。

チャイコフスキーの五番に関してはとても名演ではあったが、確かにアゴーギクもシャープに入っていて、更にここまでやるか、根拠や何処にというのもフィナーレ前にあったが、まだボンでの名演には至らなかった。要するにまだはまっていないところがあって、手兵にはなっていないからだろう。土曜日に期待したい。



参照:
打ち鳴らされるべき音 2019-03-08 | 音
大関昇進を目指せ 2018-10-10 | 音
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