「東京の流儀」について書くのはいよいよこれでおしまいです。
最後は「ガイドブック」について書かれていました。福田和也氏は、日本の旅行ガイドブックは、飲食店や土産物のことばかり載っていて肝心な現地のことが紹介されていないと述べています。
これは全く同感です。
福田氏が言うには、海外のガイドブックは、ショッピング情報などはほとんど載っていなくて、その観光地の歴史などがしっかり記載されているとのことです。
外国人が作ったガイドブックはそうなのですが、日本人が作ったガイドブックはショッピング情報誌みたいになってしまい、読むところが何もないようなものになっている。
それはそれを利用する日本国民がそういうものを求めているからでもあるのだろうとのこと。
私は日本の出版社の作ったガイドブックしか見たことがないし、海外にもほとんど行かないので、最近は日本の観光地のガイドブックしか買ったことがないのですが、まったくショッピング情報しか載っていないのでがっかりします。
肝心な歴史的な見学場所については、ほんのわずかしか載っていません。
あとは美味しい食べ物の写真やそのお店ばかりがならんでいます。土産物もそうです。
それからテーマパークみたいな、後でできた商業施設的行楽地に関しては大きく取り上げられています。一昨年行った北海道のガイドブックがそんな感じでした。
これがなぜかと考えたことがあるのですが、結局、ガイドブックって商業施設の広告にしか過ぎないんだと思うのです。広告のページではないにしろ、なんかお金でももらっているんやないでしょうか?本の購入者から得られる書籍代よりも、記事にした商業施設からお金が流れてるんじゃなかろうかと思うほどです。今時、あんまり本も売れないですが、そうなっていれば売れなくても元は取れるし、そして最近は旅行のガイドブックに商業施設のクーポンなんかが付いているみたいですね。
まったく、中身の空っぽの日本人と日本人社会ですよね。
このあいだ、山形駅の周辺を観光したんですが、山形城と博物館と最上義光歴史館と旧山形県庁舎はすばらしいんですよ。そしてこれがほぼ無料なんですね。博物館だけ有料でしたけどすごく安いです。これらについては、パンフレットなどに、なぜかあまり詳しい案内がありません。結局、観光客が見学しても収入にはならないんでしょう。
一方、七日町の「御殿堰」や十日町の「紅の藏」は、なんかとても楽し気な観光スポットとして紹介されていました。でも行ってみたら、ただの商業施設だったんですね。
ランチを食べるという目的は達成できましたけど、それ以上にあちこちで飲食をする必要はないし、土産物を買う必要もなかったので、立ち寄る意味がありません。ただ小ぎれいに整備されて、それらしき雰囲気にこしらえてるっていうだけの場所なのです。でも、こういうところに観光客を呼び込まないと、収益があげられないのでしょう。
いやいや、山形城や旧県庁舎や最上義光歴史館は、見学料を払っても充分な価値があるものでした。でも、あれは税金で成り立っているっていうわけか。
まあ、そんなわけで、日本という国は、中身の空っぽな商業主義で成り立っている社会なのでしょう。
ただ、福田和也氏は、日本のガイドブックに折り込み地図が付いているのは不要だって書いてあったんですが、私は地図は大歓迎です。ガイドブックについている地図は本当に重宝します。グルメの記事なんかはあまり見なくても地図はよく利用します。
それについては、日本人の作るガイドブックは気が利いてるなと思いました。
福田和也氏は先月お亡くなりになってしまったんですが。最近のクーポンだのポイントだのってものに支配されているお店については、きっと嘆いていたんじゃないかと思います。
本当に価値のあるものを見極めて、きちんと対価を払って、目先の損得に振り回されることなく、落ち着いて生活したいものです。
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