2月8日の朝日新聞の第一面の記事は日本製鉄が生産体制を大規模削減するという内容だった。
簡単に言えば、製鉄の需要がなくなったので過剰な生産設備を整理するということだが、そのことによって、工場のある地元の経済は落ち込み、失業者なども多く出ることが懸念されるのだそうだ。
具体的な内容
広島県呉製鉄所が2023年9月までに閉鎖される。
この製鉄所には高炉が2基あり、製鉄から製品の加工・出荷までのすべての工程を行っている。このような全工程を担う製鉄所が閉鎖されるのは異例のことである。
もう1つは、和歌山の製鉄所で、2基の高炉のうち1基が22年9月まで休止となる。
その他にも全国各地の製鉄所で生産設備の休止などが行われる。
これにより、全国各地の生産能力を1割減らし、約500万トン分を削減することになる。
削減の理由は、鉄鋼需要が低迷していることと、設備の老朽化である。
そのため、過剰な生産を削減し、生産設備も合理化しなければならない。
日本製鉄は今期400億円の黒字のはずが、4400億円の赤字になってしまった。
製鉄業界の動向
日本の製鉄業界は冬の時代を迎えている。車や造船会社も製造量が減っている。オリンピックによる需要もすでに一段落した。
中国の発展も失速しており、中国で生産される鉄は中国国内で余り始め、海外市場に流れ出すので、鉄の国際価格は下がるため、鋼材の輸出で利益を上げることは見込めない。
日本製鉄はインドなど海外への鋼材生産の活路を見出そうとしている。
問題点
製鉄所が閉鎖される広島県呉市の経済への打撃。
日本製鉄では希望退職は募らないと言っているが、約3000人もの労働者はどうなるのか。
また、地元には鉄に関連した中小企業なども多く、呉製鉄所閉鎖による影響は計り知れない。
備考
日本の製鉄会社
・日本製鉄 ・JFEスチール ・神戸製鋼 の3社
製鉄所の稼働高炉
日本製鉄=室蘭1・鹿島2・君津2・名古屋2・大分2
八幡2→1・和歌山2→1・呉2→0 (計15→11基に削減)
JFEスチール=倉敷3・福山3・千葉1・京浜1 (計8基)
神戸製鋼=加古川2 (計2基)
3社総計 今後は、25基から21基に削減となる。
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