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映画・演劇のレビュー

『ガール・オン・ザ・トレイン』

2016-12-14 21:58:45 | 映画
予告編を見た時、そそられた。そこに何が広がるのか、興味をかき立てられる、そんな作品だった。電車の窓から見た風景。そこにあるさまざまな人たちの営み。通勤の一瞬だけ、よぎる彼らの生活の一コマが毎日積み重なり、そこに親近感を抱く。まるで関係のない人なのに、旧知の仲のような想い。そんな妄想が心の中に広がる。もし、そこで自分が暮らしていたならどういう世界があっただろうか、なんて考えると、楽しい。きっとミステリーだから、そんな自分とかかわることがないはずの人とかかわりあってしまうところから始まる思いもしないドラマなのだろう、と思ったのだ。



しかし、そうではなかった。まぁ、当然だろう。僕も思う通りの映画なんてない。だから面白いのだ。これは、とてもよくできたミステリーなのだ。でも、想像した映画とはあまりに違いすぎて、かなり驚く。何度も見た予告編から勝手に作ったストーリーとあまりに違いすぎる展開に驚く。だって、予告編はそんなふうにリードしてくれるような作り方をしている(、気がする)。



少し寂しくてロマンチックなお話、ではなく、なんと、こんなドロドロの愛憎劇で、見ながらそのあまりの濃厚さに、「それはないわぁ」と何度となく思うことになる。女3人のひとりの男を巡る確執、そして、その男(2人の女の夫であり、一人の女の愛人)のあまりのくだらなさ。こんな男に騙されて、そいつをここまで好きになる女たちの愚かさには「ちょっとないわぁ」と思う。でも、人を好きになると、女たちはそうなるのかもしれない。思い込みが激しいタイプの人はいる。好きになったらここまで目が濁ってしまうものかもしれない。客観的に相手を見れない女っている。好きになったんだから、仕方ないかも、と一応彼女たちを弁護する。(でもなぁ、と心では思っているけど)



前妻は、あんな男と離婚してよかったのに、なぜ、あそこまで執着してしまうのだろうか。いらぬこだわりや、かかわりから自分を追い詰めてしまうことになってしまうのに。



この先どうなるのか、けっこうドキドキさせられたけど、結果的には「ちょっと、なぁ」がある映画だった。アメリカでは大ヒットしたようだが…
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