昨年中国で大ヒットしたアクション巨編だ。でも、日本では(というか、大阪では)ミニシアターで2週間、1日1回上映という扱いである。ハーマン・ヤウは今もなお精力的に新作を作る。このアンディ・ラウ主演のド派手な映画は、在りし日の香港映画最盛期の輝きを留める。アンディは今なおこうして悲壮感なく、体を張った映画に挑む。凄いとしかいいようがない。それはジャッキー・チェンとは違う生き方だ。(もちろん、ジャッキーはあれはあれで今も好きだけど)事故で片足になるが、リハビリで回復して、義足で健常者に負けない活躍ができるようになる、とかいう展開を納得させるなんて、さすがアンディだ。
冒頭の香港国際空港がテロで破壊されるシーンが凄まじい。そこから怒濤のアクションが続く。爆破グループの一員となり、警察に追われ逃亡する。記憶を失くしたり、潜入捜査するとか、もう無茶苦茶な展開が続くのだけど、それはいくらなんでもないでしょ、と思いつつも、見てしまうしかない。あきれるけど、目を離せないのだ。先日ネットフリックスで見た韓国の最新映画『夜叉』(ソル・ギョング主演)もむちゃくちゃなスパイ映画だったけど、あれは最後まで緊張感が持続する作品だった。でも、これは緊張感が持続するのではなく、無理から引っ張られる映画だ。強引な筋立てを力で押し切る。この凄まじいエネルギーに圧倒された。やけくそと言ってもいいだろう。でも、こういうのが香港映画だった。なんだか懐かしい。子供時代を共有したふたりが大人になりこのテロ事件で仲間になったり、敵対したりで向き合うとか、友情と裏切りとか、もうてんこ盛り、盛りだくさん。
でも、いくらなんでも、片足になっても仕事をしたいのに、爆破処理班から追い出されて、テロリストになるとかはあり得ない。しかも、それを隠すために潜入捜査官になるとか。いろんなところを目を瞑り、2時間楽しむ。『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』の続編で原題も『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 2』(拆弾専家2』)だけど、前作で死んでいるアンディ・ラウが平然と元気な姿を見せるのだから、もう何でもあり、というしかない。
こういうたわいない映画をたまには見たくなる。何も考えずにスクリーンを見守る。そんなバカな、と思いつつも、まぁ、いいかぁ、と思う。昔のジャッキー・チェンの映画がそうだった。でも、最近のジャッキー映画はハズレが多い。今ではアンディ・ラウやトム・クルーズの方が凄い。今回のこの作品はむちゃくちゃな話だけど、楽しめた。それでいい。でも、早くトムの『ミッション・インポッシブル』の新作が見たい。