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映画・演劇のレビュー

東野圭吾『夢幻花』、百田尚樹『夢を売る男』

2013-07-16 23:14:41 | その他
 本の帯にはいつも大袈裟なことが書かれてあるけど(宣伝ですからね)ついつい信じてしまい、だまされる。今回も『「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない」と著者自ら語る会心作!』というのに、やられて読んでしまった。もちろん、つまらないわけではないし、そこそこ楽しめるけど、まぁ、それだけ。

 結構さわやかな青春もの、で、ミステリで、読んでる分には悪くはない。冒頭の2つのプロローグが結構ドキドキさせられる。いったい何が起きたのか? さすがの導入部。しかも、ダブルパンチ。

 本編突入後は、さすがにスローテンポの出だし。従兄の自殺。さらには、祖父が殺害される。連続するこのふたつの事件の謎を追うヒロイン。まぁ、よくあるパターン。その過程で出会う男の子と2人で事件を解決していくうちに2人は好意を持ち合う、とか。定番だが、心地よく読める。現実には存在しないはずの黄色いアサガオの花を巡るドラマを中心に据えて400ページほどのボリューム。東野圭吾はまぁ、どれを読んでもそこそこ。

 続けて読んだのは、百田尚樹『夢を売る男』。これは出版を巡るお話。自費出版業界を舞台にして客と編集者のだまし合い。でも、結構それがただのブラックではなく的を射ているし、誠実。主人公のカリスマ編集者牛河原に説得力がある。

 彼の理屈はことごとく正しい。だから、作家志望の客は簡単にだまされる。でも、だまされても腹は立たない。彼が誠実な詐欺師だからだ。後半の悪徳業者との戦いもよく出来ている。10のエピソードが基本読み切りで、結果的には連作長編になっていて、読みやすく一瞬で読める。こういうエンタメもたまには悪くはない。


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