
ジョエル・シュマッカー監督の作品をリメイクした。油の乗り切った頃の彼の作品群は毎回とても刺激的で次は何をして(しでかして)くれるのかと、楽しみだったし、もちろんどの作品も見ていて楽しかった。あれから何年過ぎたのだろうか。(調べたら30年ほどだった。なんとオリジナルは1990年作品。もうそんなにも歳月は経っていたのか!)久しく彼の名前を聞くことはない。僕も忘れていたくらいだ。でも、この映画のリメイクが公開され、これってシュマッカーじゃないかと思い、ほんの少し興味を抱いたのを覚えている。だけど、わざわざ今この映画のリメイク作品なんかを見にいくのも、なんだかなぁ、と思って公開当時は(2017年)結局見なかった。でも最近、ネットフリックスで配信されたので、ついつい見てしまったのだが。
基本同じ話だった。まぁ、あたりまえだけど。でも、今これを再び映画にしてどんな意味があるのかな、と思う。前作の衝撃をこえるだけの仕掛けが可能なのか、少し期待。だけど、新しい展開はそこにはなかった。臨死体験によって見た死後の世界はなんだったのか、それがその後の生活に及ぼす影響。自分の能力がそれまで以上に高まること、そして、見えるはずのないものが見えること。5人の医学生たちを通して描かれるお話は単調で、そこには驚きも面白さもない。正直今この映画を作る意味を感じない。これはホラーでもSFではなく一種の青春映画だった。青春映画の金字塔『セント・エルモス・ファイアー』を撮った彼らしい作品だった。SFホラーの枠組みでもあの当時の彼はそれを生き生きした青春映画にした。その志をこのリメイクは受け継いではいない。臨死体験を描くだけではこのお話は単純すぎて成り立たない。
今調べたらジョエル・シュマッカーは2020年に亡くなられていた。2011年の『アウトブレイク』が僕が見た最後の映画だった。ガンで長く闘病生活を続けた末、亡くなられたようだ。合掌。