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映画・演劇のレビュー

『フラガール』の見せる輝き

2006-09-03 23:49:01 | 映画
 『青』でPFFにデビューした李相日が、こんなにもすごい大人の映画を作ってくれるとは夢にも思わなかった。

 昨年の『スクラップ・ヘブン』で長谷川和彦の『太陽を盗んだ男』へのオマージュを見せ、ただの青春映画の旗手から映画作家へと成長を見せた彼が若き巨匠の仲間入りをアピールするこの『フラガール』という大作を作り上げたことに、心から
拍手を送りたい。

 凡百のくだらない映画を一蹴する作品だと思って欲しい。一昨年の『パッチギ』くらいのレベルのには充分到達しているといえば、どのくらいすごいのかなんとなく理解してもらえるだろう。

 昭和40年、閉山を迫られる常磐炭鉱。そこにハワイアンセンターを作り、町の再生を図ろうとする。ひたむきに踊る少女達と彼女達を支える東京から流れてきたダンサーの姿を通して、生きる勇気を与えてくれるのがこの映画である。

 お決まりの感動の押し売りは一切しない。わざとらしさは全くなく、静かに死んでゆこうとする町と、そこに住む人たちの無念を描きながら、田舎娘達のフラダンスというとんでもないものを通して、とてつもない夢に向かって前進してゆく人々の熱いドラマが描かれてゆく。

 たった一人の力がいくつも集まってゆくことで、何かが変わる。そんな奇跡の物語である。「未来をあきらめない」というコピーが冗談ではなく、本気のものとして確かに伝わってくるのである。

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