これもNetflixオリジナル映画だ。当然Netflix独占配信の作品だ。ずっと見たかった映画なのだけど。劇場公開されなかったから今まで見ることはかなわなかった。で、ようやく、見れた。ポン・ジュノ監督の作品である。『パラサイト 半地下の家族』の前作だ。
彼はこういう映画も作れる。器用だというわけではない。自分の安全圏で作るのではない。果敢にいろんなことに挑戦するのだ。娯楽映画からアート映画まで。そしてこの映画のようにファミリー・ピクチャーまで、幅広い。少女と巨大な豚(オクジャ)との友情物語。なんだか「トトロ」の実写版の趣だ。この少女とオクジャとの山での暮らしを描いた前半部分(というか、序盤だけど)が素晴らしい。自然の中で戯れるふたりの姿が微笑ましい。
だが、オクジャが連れ去られ、ソウルからニューヨークへとお話が広がっていくと、だんだんつまらなくなる。オクジャを救おうとする動物擁護団体とか、遺伝子組み換えを隠して食肉として売り出そうとするとか、そんなこんなの設定が、リアルでもファンタジーでもない。お話の展開も中途半端で、おさまりが悪い。期待が大き過ぎたのか、なんだかがっかりだった。もっとシンプルに、彼女がなんとかしてオクジャを取り戻そうとして奮闘するロードムービーにしたならよかった。
確かにそういう展開もちゃんとしているのだ。少女がソウルの街でオクジャを追いかけるシーンのアクション満載は最高なのだ。それなのに、その後がつまらない。彼女の視点からだけで、お話を展開したのならよかったのだが、余計ないろんなものが挟まりすぎて反対につまらなくなったのである。いろんなものを入れて欲張りに作るのならば、作品世界自体ももっと広げるべきで、それはできていない。そんなこんなで、いろんな意味で、中途半端になっているのが残念だった。