7話からなるバージョンで見た。2時間31分の方で見た方がよかったかもしれない。長いだけではなく、途中からつまらなくなる。しかも、ラストは拍子抜けするようなあっけなさ。最初はさすが園子温、と思わせるむちゃくちゃなバカバカしさで、ドキドキした。だけど、3話から急失速する。椎名桔平が最後でようやく登場する第1話は、このお話は一体何なのかと思わされる展開。殺人事件から女子高の演劇部の公演へ、そして映画作りへと、縦横無尽にお話がとっ散らかっていく。どこに収まるのか想像もつかない。そこにさらなる混迷へと導く桔平氏の登場だ。あのうさん臭さには笑うしかない。
だが3話からお話は失速する。世界が閉じてしまうからだ。連続射殺魔の話がまるで進展しないし、映画作りのお話もつまらない。えぐいシーンの連続もそれだけでは、意味をなさない。バラバラだったものをどんな形で収束させるのか。それがさらなる恐怖へと僕たちを叩き落すべきなのに、そうはならない。『冷たい熱帯魚』や『愛のむきだし』の頃のパワーはもう感じられない。一世を風靡した彼が今ではこんな形で劣悪なセルフコピーに成り下がる。残念でならない。
もしかしたら、映画仕様の2時間半の作品の方は、もっと出来がいいのかもしれないけど、先にこれを見た以上、今更わざわざ見たいとは思えない。 この1か月でNetflixオリジナル映画を散々見たけど、そろろそ飽きてきた。
1995年から始まり、10年前の事件へとつながる。少女たちはどうしてロミオとジュリエットに拘ったか。ロミオの死から集団自殺を経て生き残った2人が村田(椎名桔平)と出会いどう変わっていくのか。連続射殺魔は誰なのか。(あっけないほどの結末が待っている。)事件と詐欺師との関連はどこにあるか。とっ散らかった世界が一つになるとき、どこにたどりつくか。これではまるで駄目だ。