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『天の台所』に続くシリーズ第二弾となる。がみババと台所のお話。最近「食」を題材にした小説が異常に多い。というか自分がそんな本ばかりを手にしているだけなのかもしれないが、そんな気がする。一般書はもちろんのこと、児童書でもそうだ。これもまたそんな1冊。料理する上でのさまざまな蘊蓄がさりげなく織り込まれていて勉強にもなる。
さて、今回の主人公は女の子、要。中学1年生。今は夏休み。退屈。マンションの隣に引っ越して来たネパールから来たひとつ年上の女の子サリタとなかよしになりたいけど、お互いに上手くコミニケーションが取れない。周囲の人たちと上手く付き合えないふたり。人の目が怖くて物怖じする。自分から前に出ていけない。そんなよくあるふたり。
ふたりは、がみババによる食事を通して通じ合うようになる、という感じのお話で、よくあるパターンだけど読んでいて心地よい気分になる。子ども食堂のボランティアとかもいかにもな展開だけど悪くはない。新しい発見はなくても大丈夫。大切なことは目の前の日常。その中で自分にできることをすること。夏休み、がみババの料理教室に行き、新しい出会い、発見をする。要は料理を作ることで新しい出会いをする。もちろん(というか、まさか、というか)前作の主人公である天もさりげなく登場してワンポイントリリーフ、というか、そのゲスト扱いが楽しい。しかも彼はもう高校生になっている! 次回作も楽しみ。(あるかどうかはわからないけど)