『山の上のランチタイム』の髙森美由紀の新作である。今回は小学4年の男の子が主人公だ。児童文学に分類されても構わないような内容だけど、300ページ越えの長さは小学生には厳しいかな。
まぁ子ども目線が貫かれているから、やはりこれは児童書だろう。ただあまり口当たりはよくない。髙森美由紀はストーリーテラーではない。お話で引っ張るのではなく、キャラクターとその日常描写でだんだん引き込んでいくから、最初はとっつきにくいけど、味がある。
せんべい屋という自分の家に対して少し引き気味な想い、クラスで職場訪問に選ばれてみんながやってくる。その時、これまで引きこもりをしていたクラスメイトが久々にやって来た。彼はせんべいに興味津々。やがてふたりはじいちゃんの指導のもとせんべい作りに邁進することに。
たわいない話を丁寧に見せていき、その世界に引き込んでくれる。