こういうアングラ芝居を高校生が取り上げ、上演しようとする。そのことにまず感動する。別に堂でもいい話なのだが、僕だって高校時代はちょっととんがっていて背伸びもしていた。そんな時代が懐かしい、と思わせてくれる。これはそんな芝居だった。
観念的で、生理的で、リアルでシュール。「六本木」という記号を通して、生まれること、生きていくこと、自分がどこから来て、どこへ行こうとしているのかを探る。スタイリッシュでクールな文体を目指したのもいい。
エネルギッシュで暑苦しい芝居はつらいし、そういうのは、もう今の時代にそぐわない。アングラの文体であろうとも、寺山の時代ではないのだから、これでいい。
スクエアな舞台、リングの上で、展開する「ボクケットミントン」という架空のスポーツ。父親の不在。両親の不在。姉と弟。母と娘。2組の男女4人が、いくつもの組み合わせで役を演じ、それが一筋の道へとつながっていく90分の地獄巡りの先に見えてくるもの。
終盤の「お父さん。あなたの母親になって、私があなたを産んであげる!」という(ような)台詞が、もっとぐっと胸に刺さってきたなら、よかった。終盤の怒濤の展開に役者たちがついていけなかったのが残念だ。