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映画・演劇のレビュー

『スパイダーマン3』

2007-05-07 21:27:37 | 映画
 第2作を見ながら「もう、こういうCG映画はいいよ」と思ったくせに封切ったらすぐにまた劇場に来ている自分が情けない。つまらないと判っていてもサム・ライミの映画だというだけで見てしまう自分は『死霊のはらわた』の興奮をいまだに引き摺っているのか。あのバカバカしいスプラッターが封切られた時の驚きは今も鮮明だ。それまでのホラーとは全然違う映画だった。あんなにも笑いながら怖がれたことってそれまで無かった体験だった。あの後、山のように類似品が出てきたが、当然最初の興奮は越えれない。(あの後、あれを上回る興奮は清水崇の『呪怨』の登場を待たねばならない)

 さて、今回のスパイダーマンだが、事前の期待を見事裏切って、「そこそこ面白い映画」になっていた(笑)。ヒーローものの定番を、これでもか、これでもかと見せていく。こんなにも笑える映画になっていたなんて、嬉しい誤算だ。特にサンドマンと偽スパイダーマン(この定番振り!)の2人組に立ち向かうために、スパイダーマンも相棒を連れて行く、という展開には笑えた。プロレスよろしくタッグを組んでヒーローが悪ものと戦うのである。さらには、当然のようにサンドマンが巨大化するというウルトラの昔からの超定番も踏まえているのもいい。

 スパイダーマンが悪の心に染まりそうなるが、当然それを振り払う、というシーンもいい。話の展開がめちゃ単純で、なんというあっけらかんさ。深く悩まないのも凄い。だいたいワルになった時、街を歩きながら女に色目を使うなんて、あまりのアホさに大爆笑。街行く女たちに流し目なんかしたりして、でもそこはトビー・マグワイアなんで誰も相手にしないし、かっこつけたらつけるだけ凄くかっこ悪い。彼がどんなにええ格好してポーズを決めても、ただ恥ずかしいだけ。

 前作ではちょっと悩みすぎたので今回は、悩んでもすぐ立ち直る「すっきりさっぱり映画」なのがいい。こういうヒーローものは、こうでなくっちゃね。2時間20分はちょっと長いけど、何も考えないでボーっと見てるとあっという間にラストまで連れてってくれる。途中少しくらい居眠りしたって大丈夫。充分話はわかるから。

 特撮技術はほんとに凄く、リアリティーのかけらも無いペラペラの映像を見せられる。まぁ、コミックだからこんな感じで充分。重厚な映像なんていらん。スピード感充分のアクション巨編だ。でもほんとに軽い映画で見た瞬間から忘れてしまいそう。

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