久々となる息吹の春演参加作品。短編と中編の2本立て。それぞれ木田さんと大坊さんという劇団の重鎮が主役を演じる。2作とも狂言を題材にしたシンプルな作品である。
『花がたな』は若い役者ふたりとのコラボ。(ひとりは現役高校生!)初々しいふたりと向き合う木田昌秀はとても若々しく老人を演じた。ぬけ作演じる寒川紘暉との掛け合いが楽しい。また、寒川紘暉と彼の妹である寒川結月との兄妹による掛け合いはなんだかかわいい。
続く『陳情・なにわ編』はふじたあさやの70年前の作品『陳情』を大胆にリライトして(作、柏原舞童)今の大阪の政治団体をあからさまに批判して描く。「大阪野心の会」の事務所にやってくるふたりの製薬会社の女性と野心の会の幹事長(大坊晴彦)とのやりとりを軽妙に描く。万博チケットを巡るやりとり、舞洲の問題をしっかり盛り込み、さらりとしたタッチで見せてくれる。
木田、大坊という二大スターをフィーチャーして、高齢者である彼らが堂々と演じる舞台を見るって、もうそれだけで至福である。