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太陽族の岩崎正裕作、演出、指導による作品。彼が大学生たちとどんなものをどんなふうに作ったのか、気になった。これは岩崎さんが2019年にピッコロ劇団の依頼により作り上演した作品。それを今再び取り上げた再演作品である。
最近、近大生の芝居をたくさん見ているけど、これは大阪芸大短期大学部、舞台芸術コースの生徒による卒業公演。彼らの2年間の集大成。大学で芝居を学ぶってどんな感じのものだろうか。専門学校との差異はどこにあるのか。しかも四大ではなく短大は2年である。養成所とももちろん違うだろうし。今回はそんなことをいろいろ考えながら見た。普段は小劇場の芝居しか見ないし、近大で見る芝居は小劇場仕様だけどこれはシアター・ドラマシティである。この大きな舞台で若い彼らは何を思ったか。
この大きな立派なホール(と言っても中ホールだが)での公演。手塚治虫の少年時代を題材にしたオリジナル作品。それを歌と踊りをふんだんに取り込んで2幕、2時間40分(インターミッション15分、カーテンコール5分含む)の華やかな作品として上演した。
もちろん卒業する学生たちが全員参加する。舞台芸術コースの主任教授である加納竜も案内人役で生徒と一緒に舞台に立つ。
お話は大味な内容で普段の岩崎さんの作品とはまるで違う。エンタメ仕様になっている甘い作りだ。虫が大好きな漫画少年、大寒(治虫ではない)が、戦時下を仲間たちと生き抜く姿を描いた。
ラストにはなんと、戦後から昭和100年の現代までが時代を彩った歌を背景にして一気に描かれる。芝居を見終えて、この先彼らがどう芝居と関わっていくのか、そのことのほうが気になった。