予想通りの展開だった。後半は一気に読めたけど、それに読んでいるときは楽しかったけど、新しい発見はない。あまりにパターン過ぎて、少し退屈したのも事実だ。上巻の時にも書いたようにこの下巻は、読まなくてもよかった。でも、話の途中で止めるなんてできない。
しかもそれがおもしろい小説なのだからなおさらだ。後半は前半よりも分量は長いのだが、内容は薄い。これも定番だろう。川上弘美であっても、こうなるのか、と感心した。というか、彼女は今までこんな長い小説を書いたことがない。いつもとても的確な長さで終わる。長編であっても、長さは感じさせない。というか、必要な長さで終えるからだ。もちろん彼女の代表作と言われる『センセイの鞄』もそうだった。
なのに、今回はいささか長い。2人の冒険はさまざまな顔を見せる。ひとつとして同じバターンはない。最後の七夜目で、2人はとても深い痛みを得る。自分自身と戦う。しかも、光と陰の2組とである。相手への攻撃は自分への痛みとなり、自分に返って来る。これではどうしようもない。でも、戦うしかない。
ファンタジーという意匠を纏いつつも、それでもこれは体温が低い小説だ。しかも、七つの夜を通り抜けて、ほんの少し大人になった彼らは、この世界がとんでもない方向に向かっていて、それを自分たちの力で(ほんの少しだけど)確かに救ったのに、である。そのへんが川上弘美らしい。
2人は自分たちがほんの少し世界を危機から救ったというそんな自負心を胸に、その後の人生を歩んでいくことになる。すべてをお話の中だけの出来事に収斂させるのではなく、確かな事実として、(現実の出来事として)見せる。夜の世界は確かにあって、彼らはそれに戦いを挑んだ。その結果、今の世界がある。彼らはほとんど誰も知らないけど、この世界の救世主なのだ。
しかもそれがおもしろい小説なのだからなおさらだ。後半は前半よりも分量は長いのだが、内容は薄い。これも定番だろう。川上弘美であっても、こうなるのか、と感心した。というか、彼女は今までこんな長い小説を書いたことがない。いつもとても的確な長さで終わる。長編であっても、長さは感じさせない。というか、必要な長さで終えるからだ。もちろん彼女の代表作と言われる『センセイの鞄』もそうだった。
なのに、今回はいささか長い。2人の冒険はさまざまな顔を見せる。ひとつとして同じバターンはない。最後の七夜目で、2人はとても深い痛みを得る。自分自身と戦う。しかも、光と陰の2組とである。相手への攻撃は自分への痛みとなり、自分に返って来る。これではどうしようもない。でも、戦うしかない。
ファンタジーという意匠を纏いつつも、それでもこれは体温が低い小説だ。しかも、七つの夜を通り抜けて、ほんの少し大人になった彼らは、この世界がとんでもない方向に向かっていて、それを自分たちの力で(ほんの少しだけど)確かに救ったのに、である。そのへんが川上弘美らしい。
2人は自分たちがほんの少し世界を危機から救ったというそんな自負心を胸に、その後の人生を歩んでいくことになる。すべてをお話の中だけの出来事に収斂させるのではなく、確かな事実として、(現実の出来事として)見せる。夜の世界は確かにあって、彼らはそれに戦いを挑んだ。その結果、今の世界がある。彼らはほとんど誰も知らないけど、この世界の救世主なのだ。