
なんと3時間2分の超大作である。この手の娯楽映画の上映時間としてはこれは半端じゃない。だいたいこれは『ロード・オブ・ザ・リング』じゃないんだから、3時間越えってあり得ない話だ。この長さには観客も引くだろうし、映画興行としてもこの上映時間は許されないはずだ。なのに、あえてこれで行く。きっとつくり手にはそれだけの自信があったのだろうし、映画会社(ディズニー)もそれを許した。
堂々たるタッチでお話は展開していくのにも驚いた。特に導入部の悠々たるタッチはすごい。あの暗さも素晴らしい。ここからどんな映画が始まるのか、ドキドキさせられる。
なのに、タイムマシーンで過去に戻ってリセットするなんていう、どこぞのバカでも考えられるようなまさかの安易なストーリーになっていき、しかも、「ドラゴンボールを6個集めると願いが叶う」というようなありえないお話になるのだ。(まぁそれは前作からのつながりだし仕方ないかも、だけど)もうなんだかなぁ、である。そこまでの悲壮感漂うお話はなかなかのものだっただけに、これには唖然とするし、がっくりくる。能天気な娯楽活劇のはずだったのに、このとんでもなく暗くて重い展開に大いに期待していただけに、そのがっかりは計り知れない。
ラスト近くでの、お話自体はもうとうに終わったにも関わらず、延々とその後を見せ続けるのにも驚いた。ふつうならやらないことをちゃんと見せるファンサービスは素晴らしいけど、これでは全体のバランスを大いに欠く。
凄まじい超大作映画にも関わらず、見終えた時のこの何とも言いようのない虚しさは、どう言えばいいのだろうか。こんなにも贅沢で豪華な映画を見ながら、そんな気分にさせられる不条理。
もうヒーロー大集合映画はいらない、と思う。仮面ライダーや戦隊もので散々思い知らされたのに、マーベルでもそんな気分のうんざりを味合わされるなんて。しかも、前3作よりもいろんな意味で気合の入り方からして段違いの入魂の1作だったのもかかわらず、である。なんだかなぁ、と思う。凄い映画だと言ってもいいけど、なんだか、なのだ。