
最近毎日のようにプロ野球を見ている。交流戦が始まってからは特に。週末は昼から、平日は夕方からTVをつけたら阪神戦を中心にしてさまざまな試合が放送されているからだ。甲子園だけでなくどの試合にもよく人が入っている。ネットサーフィンしてあれもこれも見ていた。本当にヒマジンである。我が家は基本オリックス戦を中心にして見ている。さらには朝はドジャースの試合。大谷は毎日やってるし、山本が登板する試合は必ず見る。どこまで暇な人だろうか。
というわけで、いつまでも本題に入らない。これは甲子園を目指した男の子と、その母親の物語だ。冒頭の甲子園。アルプス席から母親は息子に声をかける。息子は伝令としてグランドに出た補欠。
お話は彼の中学時代から始まる。彼は大阪の名門高校野球部に入ろうとした。だが、新興高校野球部監督から強引な誘いを受けて特別推薦で入学する。なんだか嫌な予感がする始まりである。案の定の展開にウンザリする。1年からエースとして、マウンドに立つ。先輩たちから虐められる。無理をして肩を壊して投げられなくなり、補欠選手に。
母親は選手会で大変な思いをする。高校野球界の嫌なことがこれでもか、の勢いで噴出して描かれる。だがこの小説は高校野球あるあるのそんな暴露話ではない。
使い捨てにされた彼の悲惨な高校生活を描く、と見せかけて、これはそんなことで終わるような話ではないのだ。まさかの大逆転があるだけでなく、その遥か先を見通す。当たり前の話だけど、甲子園がゴールではない。人生はまだまだ続くからだ。高校生活の3年間、ただ野球だけで生きた。そこから学んだものを生かして未来に向けて前進する彼と母の姿が眩しい。