こんなおバカな映画をここまで本気で作るのは山本政志しかいない。これは傑作『ロビンソンの庭』に続く庭が舞台の映画だ、なんて言わないけど、結果的にはそんな感じ、だけど、あの静かな映画とはまるで違う破天荒な映画になった。わけがわからんけど凄いエネルギー。めちゃくちゃ。
大邸宅の庭が舞台でそこでお祭り騒ぎをする。親の遺産であった豪邸。破産により、一家はこの家を手放すことになった。その引っ越しの日に、娘がネットで「庭でパーティをするから誰でもみんな来てね」と発信した。最初は誰も来ないが、やがてどんどんいろんな人たちがやってくる。もう収拾がつかないお祭り騒ぎが展開することになる。
山本政志はふざけているのではない。本気でこのバカ騒ぎを作る。これは新興宗教を扱った前作『水の声を聞く』以来の新作だ。初期の『てなもんやコネクション』を想起させるハイテンション映画。あるいは『アトランタ・ブギ』のような破天荒な群集劇。多国籍、あらゆる世代、さまざまな人たちがごった煮になるカオス。もう何がなんだかわからないし、なんでもありの世界。そのわけのわからない混沌とした現状を楽しむといい。どこまでもエスカレートして収拾なんてつかない。午後からなんとなく始まったパーティーは怒濤の出来事てんこ盛りで翌朝まで続く。
大騒ぎした後,みんなが疲れ切って去っていくラストはなんだが清々しい。ここからなんだかわからないけど、新しい一日が始まるのだ。この家族にとっても。それからなんとなく集まってきた有象無象の知らない人たち(知っている人も)にとっても。なんだか元気をもらった気もするし、イタズラに疲れただけのような気にもなる。