この映画を凄い映画だ、という人と、これって退屈という人がいる。その両者の気持ちがとてもよく分かる。これはかなり微妙な仕上がりの映画だ。嵌ってしまうとこの映画のすべてがギレルモ・デル・トロのねらい通りだと思ってしまうことだろう。彼のバランスを欠いた作劇すら精緻に組み立てられたものに見えてくるはずだ。
いつもの残虐な描写は決して影を潜めたりしないのもいい。こういう題材を扱ってもお上品にならない。だが、下品なんかにするわけもない。だってこれはデル・トロ版アリスなのだ。これはある不幸な少女の体験する現実と幻想が交錯する世界だ。そのどちらかに比重を置くでもなく、バランスよく話を紡いでいく。
一見今までの彼とは別人のようにも見えるが、『ヘルボーイ』を作らせても彼はバカなアメコミではなくきちんとした世界観を提示するし、『デビルス・バックボーン』の時なんて今回と相通ずる子供たちの不安と孤独の見せる幻影を見事に描き、まさにこの映画の前哨戦を見せてくれた。
とても丁寧に作られた映画だが、全体が少し単調すぎて、そこがデル・トロの弱点だったりもする。面白いのだがコイツは凄いと言い切ってしまうほどのインパクトがないのだ。どういう題材を扱ってもいつもそうなってしまうところが、彼の限界なのだろうか。それともそこにこそ彼にしか出来ない映画が生まれる可能性があるのか、今の段階ではまだよく分からない。分からないからこそ次の新作が楽しみなのだ。
いつもの残虐な描写は決して影を潜めたりしないのもいい。こういう題材を扱ってもお上品にならない。だが、下品なんかにするわけもない。だってこれはデル・トロ版アリスなのだ。これはある不幸な少女の体験する現実と幻想が交錯する世界だ。そのどちらかに比重を置くでもなく、バランスよく話を紡いでいく。
一見今までの彼とは別人のようにも見えるが、『ヘルボーイ』を作らせても彼はバカなアメコミではなくきちんとした世界観を提示するし、『デビルス・バックボーン』の時なんて今回と相通ずる子供たちの不安と孤独の見せる幻影を見事に描き、まさにこの映画の前哨戦を見せてくれた。
とても丁寧に作られた映画だが、全体が少し単調すぎて、そこがデル・トロの弱点だったりもする。面白いのだがコイツは凄いと言い切ってしまうほどのインパクトがないのだ。どういう題材を扱ってもいつもそうなってしまうところが、彼の限界なのだろうか。それともそこにこそ彼にしか出来ない映画が生まれる可能性があるのか、今の段階ではまだよく分からない。分からないからこそ次の新作が楽しみなのだ。