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映画・演劇のレビュー

千早茜『マリエ』

2023-10-08 12:39:00 | その他

昨日は40歳になる男を主人公にした映画『アナログ』を見たから、今日は40歳になる女を主人公にした小説を読むことにした。もちろん、たまたまそうなっただけですが。

離婚から始まる新しい人生が描かれる。特別なことはなく、あたりまえの毎日が続く。だが、それは結婚していた時とは違う毎日だ。小さな出来事の積み重ねの中から「おとなの女の幸せを巡る冒険」(帯の文言)が綴られる。無理せずに自然体で、今までやらなかったことをひとつずつすることから見えてくるもの。

7年半。結婚していた。夫から恋愛をしたいから離婚してくれ、なんていうバカなお願いをされて、受け入れた。好きな人が出来たから別れて欲しい、という定番ではなかった。彼女は39歳。まだ若いか、もう若くないか。

ひとりになり、自由になり、寂しくもなり、気がつくと、7つも年下の男の子(32歳は大人だが)と疑似恋愛みたいな関係になる。再婚を意識していたわけではないけど、男女の関係になり、恋人にはなる。同時になんとなく結婚相談所に登録して、婚活をしてしまう。だけど、また結婚したいとは言い切れない。

離婚、孤独死、髪を切る。各章のタイトルは3話仕立てになっている。お題に沿って話が展開する。先の3つは1、2話、5話の冒頭のエピソード。クライマックスの8話は(全9話)「ひとり寝、奇遇、緑のリフト」。恋愛の終わりが描かれる。

これはやはり恋愛小説だ。等身大のリアルさ。最初に書いたけど、昨日見た映画『アナログ』は同じように恋愛映画だが、あり得ないけど、あり得たらうれしい夢のような理想。ふたつは現実と夢という対になっている。もちろん、たまたまそうなっていただけだが。


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