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映画・演劇のレビュー

『ラスト17デー』

2025-01-07 19:15:00 | 映画
こんな映画があったのか、と驚く。通常のルートでの劇場公開はされていないはずだけど、密かにどこかで上映されて、今現在はAmazonで配信されている。片山拓監督作品。

よくある高校生を主人公にした学園ドラマ。だけど、有名俳優やタレントは出てない自主映画。だけど、なかなかよく出来ている。80分の短い作品で、登場人物もメインの新聞部員の3人と、ふたりの同級生、顧問の先生の合計6人。新聞部の部室からほとんど出ないで話は進むというとても小さな映画だ。描かれるのもたった5日間の出来事。タイトルにあるように、18歳の誕生日までの5日間である。月曜日から始まって土曜日まで。日曜日の彼女の誕生日は描かれない。

17歳は特別な時間なのに、まるでいいことはなかった。後1週間で18歳になってしまう。17の間に成し遂げたい、何かを。そんな想いが描かれる。そしてそれが特別な新聞を作り上げること、というささやかな、だけど大切なこととして実現するまでが描かれる。たった3人しかいない新聞部。しかも彼女たちはもう3年で引退したら部員はゼロ。クラブは自動的に廃部になる。

高校の時の部活を描く映画なら山盛りある。だけど新聞部はなかったはず。(あっ、昨年1本あったけど。『新米記者トロっ子』)地味な部活で地味な成果を上げるまでのお話。だけど、それは彼女たちにとっては最高の時間であり、それが今の自分たちを作り上げる。

ラストではエピローグとして5年後の再会が描かれる。しかもそこは懐かしい母校の新聞部の部室だ。3人のうちふたりが新聞記者になり、ひとりは母校の先生になっている。まさかそんな夢のような現在はないだろうけど、映画だからそれも可能だ。これは確かに甘い映画である。だけどそんな夢を実現する子どもたちを描くこの映画は愛おしい。

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