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映画・演劇のレビュー

神戸遥真『恋とシェイクとバレンタイン』

2022-02-18 10:58:57 | その他

「Eバーガー」シリーズの第4作。セカンドシーズン第1章。ということは、またこれも3部作なのか。今回もお話は途中で終わるし。

ふつうの女の子。15歳(か、16歳)高校1年生。ファーストフード店でアルバイトを始める。そこで好きな人ができたり、職場の仲間と仲良くなり、世界が広がる。ファーストシーズンの主人公である優芽ちゃんもちゃんと脇役として出てくる。ただ、もう前3部作でこのパターンはやり尽くしているから、どうしてもただの2番煎じにしかならない。

そんなこと十二分にわかったうえで、どういう切り口で新しい展開を見せていくのか、そこが作者の勝負どころだろう。少しわざとらしいかわいい系女の子だった優芽ちゃんと違って今回のヒロイン詩織ちゃんは、もっと普通のどこにでもいそうな女の子。彼女の悩みや想いはとてもささやか。ドラマや映画によくあるドジっ子でもない。なんの特徴もない女の子。だから、お話は盛り上がらない。でも、敢えてこういう設定でどれだけ自然に3作品を展開できるのか、そこが大事なポイントとなることだろう。

職場で再会した幼なじみの男の子、学校の仲よし3人組(でも、ほんとうはそんな演技をしているだけ)とのお話は次の第2作目でじっくりと描かれるのだろうけど、この難しい展開を通して彼女の高校生活を神戸遥真がどう描くのか、そこは少しだけ楽しみ。ここまではただの序章でしかないから、まだお話は始まらない。この後、ただのルーティーンにしかならないようなら諦めるけど、きっとこの凄い挑戦(ここには特別なことは、なにひとつない)を成功させ、そこに思いもしない小説(どこにもなかった特別)を提示してくれることを期待しよう。


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