読む本がなくて、たまたま手に取った。刑務所から出てきた2人の女が、下町で(谷中)ひっそり暮らすさまを描いた中編連作スタイルの長編小説。4話からなるのだが、この感じならどこまでも続けられることができる。
7年間も服役していて、20代の大半を塀の中で過ごした芭子は、普通に社会生活が営めるかどうか、どきどきしている。過去を知られたくはないし、知られると、もうそこでは生きていけないと恐れる。祖母の残してくれた古い家で、ひっそり暮らす。でも、向かいにはおせっかいな老夫婦が住んでいて、心休まることはない。同じように刑務所から出てきて近所に住んでいる綾香さんはパン職人を目指し、頑張っている。一回り上だし、接点はまるでなさそうに見える2人が(もちろん接点は服役していたことで、そんなこと、誰にも言えない秘密だ)とても仲よく肩寄せ合って過ごしている。周囲の人たちとの関係性も含めてだ。
少しずつ世界に溶け込んでいこうとする2人の姿をもどかしいくらいに、ゆっくりと描いていく。受刑者の社会復帰は簡単ではない。世間の目を気にしながら、暮らしていく。大きなお話の展開があるわけもない。それどころか、まるでない。そうじゃなくては彼女たちは困るからだ。でも、いつの日にか、きっと幸せになれるはずだ。タイトルにあるように、いつか、陽のあたる場所に出て、明るい笑顔を「誰か」に(あるいは、「誰も」に)向けられる。その日を胸に毎日を生きていく。
乃南アサは久々に読んだ。もう少しタッチを抑えたほうがいい。わかりやすい小説で読みやすいけど、これでは少し俗っぽすぎる。中間小説だから、これくらいのトーンが望ましいのかもしれないけど、あと少し抑えるだけで、とてもいい小説になったかもしれないと、惜しまれる。
関係ないけど、この小説はつい最近NHKでドラマ化されているようだ。主人公の芭子を上戸彩が演じたらしい。綾香さんは飯島直子。ホームページのキャスティング表を見たが、小説とはかなり雰囲気が違う。
7年間も服役していて、20代の大半を塀の中で過ごした芭子は、普通に社会生活が営めるかどうか、どきどきしている。過去を知られたくはないし、知られると、もうそこでは生きていけないと恐れる。祖母の残してくれた古い家で、ひっそり暮らす。でも、向かいにはおせっかいな老夫婦が住んでいて、心休まることはない。同じように刑務所から出てきて近所に住んでいる綾香さんはパン職人を目指し、頑張っている。一回り上だし、接点はまるでなさそうに見える2人が(もちろん接点は服役していたことで、そんなこと、誰にも言えない秘密だ)とても仲よく肩寄せ合って過ごしている。周囲の人たちとの関係性も含めてだ。
少しずつ世界に溶け込んでいこうとする2人の姿をもどかしいくらいに、ゆっくりと描いていく。受刑者の社会復帰は簡単ではない。世間の目を気にしながら、暮らしていく。大きなお話の展開があるわけもない。それどころか、まるでない。そうじゃなくては彼女たちは困るからだ。でも、いつの日にか、きっと幸せになれるはずだ。タイトルにあるように、いつか、陽のあたる場所に出て、明るい笑顔を「誰か」に(あるいは、「誰も」に)向けられる。その日を胸に毎日を生きていく。
乃南アサは久々に読んだ。もう少しタッチを抑えたほうがいい。わかりやすい小説で読みやすいけど、これでは少し俗っぽすぎる。中間小説だから、これくらいのトーンが望ましいのかもしれないけど、あと少し抑えるだけで、とてもいい小説になったかもしれないと、惜しまれる。
関係ないけど、この小説はつい最近NHKでドラマ化されているようだ。主人公の芭子を上戸彩が演じたらしい。綾香さんは飯島直子。ホームページのキャスティング表を見たが、小説とはかなり雰囲気が違う。