『トゥルーグリット』の少女、ヘイリー・スタインフェルドが高校生になって帰ってきた。これは単純に自分に対して自信のない女の子を主人公にした映画ではない。イヤミでゴーマンな女の子でもない。
ある種のパターンには収まらない。破天荒な女の子だ。いろんな意味で面倒くさいヤツであることは確かだけど、この子はある意味でとても正直。しかも素直。自分の気持ちに嘘がつけないから傷つく。周りとも折り合いがつかない。それどころかぶつかってしまうばかり。そんな複雑な女の子を、全編にわたって不機嫌な顔で演じる。
母とも兄とも上手くいかない。唯一の理解者だった父を失い、もう誰も彼女の気持ちをわかってくれない。まぁ、ひとりだけなら、親友がいる。なのに、その彼女があの天敵の兄とつきあうことになり、最悪。もうムリ。
重くもなく、軽くもない。等身大の17歳の毎日をリアルに描いて、見るものを納得させる。ノスタルジックな青春映画なら今までたくさんあったけど、今を生きる女の子をそのまま描く映画なんてありそうでない。自分の中にある鬱屈したものと上手くつきあえないから他人とだけではなく、自分ともぶつかってばかり。みんな嫌いだし、自分自身が大嫌い。だからもう死んでしまいたい。そんな女の子の毎日をスケッチしていく。彼女の姿を追いかけるだけで、こんなにもドキドキする。これはありきたりな青春映画の皮をかぶったとんでもない映画だ。最後には、これも定番だけど、なんだか吹っ切れてしまうのも、よかった。