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NMB48のアイドルが主演するハートフルコメディ。台本はTVドラマの脚本家は江頭美智留。お話はかなり緩く、設定にもかなり無理がある。ただ無理を押し通して最後まで、見せる。
東京から山形までの無許可遺体運搬なんていう特異な設定は面白いが、お話にはリアリティはない。あり得ないことの連鎖は意図的にではなく、最初から破綻している。台本の不備だけど、それが途中から快感になる。めちゃくちゃ大胆な辻褄合わせには呆れるが、演じる女の子たちが一生懸命に頑張っているので、応援したくなるからだ。無事ラストまでたどり着いたところでほっとして終わる。
たわいないお話だが、それはそれでいい。大切なのは、彼女たちのドキドキが客席にまで伝わるかどうかだろう。未熟な彼女たちが学芸会レベルの芝居をやり遂げること。でも、それはとても大切なことだ。彼女たちが役者として上手い芝居をする必要はないし、そんなものを観客は求めない。なんだかわからないけど、この事態に巻き込まれて、必死になって現状を打開しようとする姿が、彼女たちがこの芝居と向き合い格闘する姿とシンクロする。そこに生じるドキドキはとてもリアルでそれを体感できる幸せがこの芝居の身上なのだ。
彼女たちが、同世代の女の子たちや宝塚歌劇団OG(あこがれの大先輩!)とタッグを組んで放つこの作品は少女たちの大冒険で、この荒唐無稽なドラマとマッチしている。
死体運搬、死んだ母親がやってきて助けてくれる(最後まで気がつかないけど)とか、殺人犯の同乗とか、ご都合主義で、あり得ないことの連鎖には笑うしかないけど、あっけらかんとハッピーエンドでまとめ上げる。それはそれであっぱれだった。これはそんなこんなで、かわいくて、楽しい芝居。悪くない。