
今人気の青山美智子の新作だから、図書館ではなかなか借りられない。僕は待つのが苦手だから予約がたくさんついている本は諦める。この本だって20件以上付いていたから予約はしなかった。僕に先に貸してくれたら1日で返すのだけどなぁと思う。まぁそんなズルはしてくれない。だけど、妻の働いている大学図書館に入荷していて、そこでは予約ゼロ。
ということで、さっそく読み始める。相変わらずの変わり映えしないお話である。だからみんなは好きなのかもしれない。さすがに僕は少し飽きてきたから、今回だって別に読まなくていいと思っていた。まぁたまたまこうして読んでいるけど。
もしかして今回は長編小説か、と最初は期待した。しかしやはり短編連作だ。第2章を読んで少しガッカリした。だけど大丈夫(何が?)これはこれでいいです。青山さんらしい。今回は王子が狂言回しとして銀座の歩行者天国を徘徊する。彼はいなくなった人魚を探している。タイムリミットは24時間。銀座で彼と出会う5人のお話である。5人のドラマにさりげなく王子が関わってくる。王子はもちろんずっと人魚を探している。時間は刻々と迫る。
12時から5時まで。銀座の歩行者天国。魔法の5時間を舞台にして5つのお話が描かれていく。そして最後まで読んだ時、これが短編連作であると同時に確かに長編小説でもあることに気づく。なかなかさりげなくていい感じだ。エピローグまでしっかり読ませてくれる。青山美智子はアンデルセンの『人魚姫』を題材にしてこんな現代のおとぎ話を作った。