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映画・演劇のレビュー

『スキトモ』

2007-06-06 06:31:52 | 映画
 三原光尋監督は『歌謡曲だよ、人生は』の第5話を担当しており、宮史郎本人を主人公にして、『女のみち』を映画化している。銭湯を舞台にした、懐かしくて、おバカな映画である。サウナで刺青の初老の男に絡まれる高校生の話。2人で忘れてしまった『女のみち』の歌詞を思い出すために必死になる、というそれだけの話だ。映画のラスト近くで一瞬スクエアのメンバーも顔を出したりする。

 そんな彼の長編最新作『スキトモ』が、2月にシネ・ヌーヴォーでひっそり公開された。(1週間のレイトショーのみ)もちろん見てなかった。今日『歌謡曲だよ、人生は』を見た記念に、DVDレンタルしてきた。

 三原監督は昔からスポーツねたの映画が大好きだ。8ミリ時代の傑作『栄養成分表示』では陸上部を描き、伊丹映画祭(かって、そんなものがあったのである!)のスカラシップで撮った『真夏のビタミン』では水泳部を扱った。どちらも懐かしい映画だ。ホウ・シャオシェンに絶賛された『風の王国』で野球部、商業映画に転じてもママさんバレー、卓球などなど。そんなものばかり撮っている。

 そして、今回は大学のボクシング部だ。ホモネタと、血のつながらない妹の兄への恋愛感情を絡ませた青春映画。こんな素材なのにさらりとした作品に仕上げてあるのは彼らしい。安藤尋の『BLUE』『僕は妹に恋をする』の2本に向こうを張った作品だろうか。あの2本には到底及ばないあたりさわりのない作品で、そのへんも三原監督らしい。ただ、こんな映画にしかならないというのも彼の限界かもしれない。甘くてどうでもいい作品をせっせと作ってしまう。いい人だけど。

 とても照れ屋さんで、人前でいつも恥ずかしそうにしている彼は、いくつになってもプロの映画監督には見えない。『村の写真集』の時、舞台挨拶で「原田知世さんと仕事が出来て嬉しいです。僕『時をかける少女』の頃からのファンだったんです。」なんて言っていた。「あんたは監督だろ!」と突っ込みを入れたくなったが、笑って見てた。昔、自主映画の上映会で、自分で映写機を回していた頃のまま、今も映画を撮り続けている。僕はそんな彼をいつまでも、ひそかに応援している。いつの日にか彼にしか撮れない素晴らしい映画が生まれると信じている。

 ちなみに僕が選ぶ彼の代表作は、TV作品だが、西田尚美が素敵な『恋するベトナム』である。ぜひレンタルして見て欲しい。

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