週末なのに芝居もなく、暇なのでたまたまみつけた映画を見始めた。全くなんの情報もなく。この映画が劇場で公開されていたことすら知らなかったのは意外だ。少なくとも大阪で公開されているような映画なら、見ていないものも含めて、知らないことはなさそうなのに、この作品は全く気付かなかったようだ。まぁ、最近はすさまじい量の映画がいきなり公開され一瞬で消えていくようだから、ぼんやりしていたらそういうことも起こりえる。ということで、未公開作品なんだろうと思い、つまらない可能性もあるけど、予告編に惹かれて見始めた。
これはSF映画なのか、というような始まり方だ。防護服に身を包んだ男たちが登場する。明るい日差しの中、たぶんそれは日常の風景なのに、なんだか世界の終わりを思わせる。そこにスケボーを抱えた2人の黒人の男たちがやってくる。彼らがこの映画の主人公だ。
サンフランシスコの燦燦と輝く日差しの中、彼らの街歩き(スケボーだけど)が綴られる。ここは立派な邸宅が並ぶ高級住宅地だ。とある家に行く。そこは昔彼のおじいちゃんの家だったらしい。税金が払えず人手に渡り今では知らない人が住んでいる。やがて、ここが売りに出される。彼はこの家に不法侵入して、家具なんかを運び込み、生活を始める。
説明はほとんどないから、なんなんだこれは、と思う。でも、ここに描かれる悲しみは確かに伝わる。時代が変わり、状況も変わる。でも、大事なものは変わらない。それを大切にしていきたいと願うけど、そんなささやかな想いは簡単に打ち崩されていく。悔しいけど、どうしようもない。ここに描かれるのはささやかな抵抗だ。それだけ。わからないではない。でも、なんだかあまりにあっけなく、こんなんでいいのか、とも思う。だけどこれはそういう映画なのだろう。なんとも不思議な映画だ。さらりと受け入れていく。なんだかもどかしい。自己主張はしない。だから残念ながら見終えても、あまり心には残らない。
同じように建物を中心に据えた映画だけど『コロンバス』はあんなにも心に沁みたのに、これはからっぽだ。とても興味深い映画なのにそこはなんだか残念だ。