
前回は公開前なので少し遠慮して書いたが、なんか気分がすっきりしないので、はっきり書くことにした。(まだ、公開前なのだが)
この映画はオリジナルには遠く及ばない。比較するのではなく、まず1本の映画としてどう見たか、という話をしなくてはならないはずなのだが、開口一番口につくのはオリジナルの面白さ、「それに較べて今回のリメイクは」という語り口になってしまう。それくらいに『インファナル・アフェア』は凄かったということだ。
マーチン・スコセッシによる今回の映画は決して悪い映画ではないが、すべてがオリジナルの再生産でしかなく、この映画ならではの新機軸がない。だからついつい比較となってしまうのだ。細部に関してはアメリカを舞台にしてリアルに見せるための設定変更等はある。なかなかうまく置き換えが出来ている。しかしそれだけではオリジナルを超えることは不可能だ。
主人公の2人があまりに軽すぎて、映画自体に奥行きが出ないのもつらい。年齢的な問題もあり、青春映画としてまとめてあるので、しかたないのかもしれない。しかし、ディカプリオとマット・デイモンではトニー・レオンとアンディ・ラウの持つ大人の魅力に及ぶまでもないのだ。だからこそ、こちらは2人の若さを映画に反映させ、彼らの弱さ、未熟さを武器に映画を引っ張ったってよかったと思う。さらには、2人が入れ替え可能な存在であることも、もっと前面に打ち出すべきであった。(そのことは前回に書いてある。)いくらジャック・ニコルソンが怪演を見せてくれても、それが映画の力にはならない。
大人の映画であるオリジナルに対して子供の映画である今回の新版。その差異をもっと際立たせることによって、この映画はこの映画なりの魅力を発揮出来たのではないか。主人公たちの女性関係もオリジナルより、簡単にしてしまった。2人の女を1人にしてしまったのはいただけない。こんなにもストーリーを分かりやすく整理したはずなのに、2時間のオリジナルに対して2時間半もの上映時間になってしまったのは情けない。その結果、ストーリーの流れが悪く、とてもテンポの悪い映画になってしまっている。
誰もが知っていることだがアンドリュー・ラウとアラン・マックの共同監督による『インファナル・アフェア』(原題は『無間道』)は3部作になっており、今回は第1部のみの再映画化である。スコセッシは3本ともしっかり見た上でこの作品に取り組んだのであろうか。もちろん原作なんて関係ないというスタンスもあり、だと思う。このストーリーからいかに自分の映画を作るかが大事だ。しかし、オリジナルへのリスペクトなくして、自分の映画だけを前面に出し、失敗したならそれは傲慢というものだろう。映画史の古典である『タクシードライバー』は誰もがリスペクトしており、あの映画を超えようとたくさんの映画が作られた。巨匠スコセッシが、現役の監督であるなら、彼はこの傑作3部作を見ておく必要がある。
この映画はオリジナルには遠く及ばない。比較するのではなく、まず1本の映画としてどう見たか、という話をしなくてはならないはずなのだが、開口一番口につくのはオリジナルの面白さ、「それに較べて今回のリメイクは」という語り口になってしまう。それくらいに『インファナル・アフェア』は凄かったということだ。
マーチン・スコセッシによる今回の映画は決して悪い映画ではないが、すべてがオリジナルの再生産でしかなく、この映画ならではの新機軸がない。だからついつい比較となってしまうのだ。細部に関してはアメリカを舞台にしてリアルに見せるための設定変更等はある。なかなかうまく置き換えが出来ている。しかしそれだけではオリジナルを超えることは不可能だ。
主人公の2人があまりに軽すぎて、映画自体に奥行きが出ないのもつらい。年齢的な問題もあり、青春映画としてまとめてあるので、しかたないのかもしれない。しかし、ディカプリオとマット・デイモンではトニー・レオンとアンディ・ラウの持つ大人の魅力に及ぶまでもないのだ。だからこそ、こちらは2人の若さを映画に反映させ、彼らの弱さ、未熟さを武器に映画を引っ張ったってよかったと思う。さらには、2人が入れ替え可能な存在であることも、もっと前面に打ち出すべきであった。(そのことは前回に書いてある。)いくらジャック・ニコルソンが怪演を見せてくれても、それが映画の力にはならない。
大人の映画であるオリジナルに対して子供の映画である今回の新版。その差異をもっと際立たせることによって、この映画はこの映画なりの魅力を発揮出来たのではないか。主人公たちの女性関係もオリジナルより、簡単にしてしまった。2人の女を1人にしてしまったのはいただけない。こんなにもストーリーを分かりやすく整理したはずなのに、2時間のオリジナルに対して2時間半もの上映時間になってしまったのは情けない。その結果、ストーリーの流れが悪く、とてもテンポの悪い映画になってしまっている。
誰もが知っていることだがアンドリュー・ラウとアラン・マックの共同監督による『インファナル・アフェア』(原題は『無間道』)は3部作になっており、今回は第1部のみの再映画化である。スコセッシは3本ともしっかり見た上でこの作品に取り組んだのであろうか。もちろん原作なんて関係ないというスタンスもあり、だと思う。このストーリーからいかに自分の映画を作るかが大事だ。しかし、オリジナルへのリスペクトなくして、自分の映画だけを前面に出し、失敗したならそれは傲慢というものだろう。映画史の古典である『タクシードライバー』は誰もがリスペクトしており、あの映画を超えようとたくさんの映画が作られた。巨匠スコセッシが、現役の監督であるなら、彼はこの傑作3部作を見ておく必要がある。