ドアの向こう

日々のメモ書き 

デルフト物語り

2008-08-28 | アートな時間

  きのう フェルメール展 へ行った。 長雨がようやくあがって、 青空に 「デルフト風景」 のような雲が湧いている。   
  丹念に描かれた絵は こころを惹きつけてやまない。 光と翳の効果、 空間の処理、 慎重に考え抜かれた構図。 入れ子のように奥へ誘い、 衣裳の襞や翳の豊かさ。 なにより色彩の美しさに息を呑む。 時間がとまる。 静謐な絵に心安らぐ。
 真珠の耀き、 ヴァージナルやリュートも聴こえそうだ。 思いがけず小さな作品でおどろく。  描くように観て 勝手な想像をめぐらせる。

            -☆-

小路  「小路」 1658~1660年頃
  画家がふだん見慣れている何とない眺めを、 考え抜かれた構図や色彩で豊かなものがたりにしている。 

  右の建物が画面を分割しそうだが。   薄曇りの光の中、 手をついて遊ぶ子ども、 刺繍をする女性、 露地を片付けるもうひとりの女性。 
 細部まで見ていくと、 窓ガラスの格子にも夏の陽が散らばる、  煉瓦の描き込みもこまやか。 赤や黄色の味付け。
 
 見飽きない、 壁やアーチの白がリズムを生んで 露地をぬけ 空き地を抜けて 遠くの空へと運んだ。  フェルメール・ブルーは、 甃に、木戸に、 女性のエプロン、 木立や屋根のうえに。 隠し味のようにこぼれている。 雲間の遙かなるウルトラマリンブルーもあった。 縦約54㌢・横約44㌢
  
   「リュートを調弦する女」 1663~1665年頃
  押さえた色合いのなかにも、 無量の、 いぶし銀のような魅力がある。 好きな作品。 手前に椅子の飾りだろうか。 無造作に置かれたものと。 不思議な陰が均衡を破る。  翳は微妙にトーンを変えて。
 外光に浮かびあがる人物が調弦の合間、 ふと見せる横顔、 耳飾りのまろやかな光り、 その頬にも触れてみたいと思った。  縦約51㌢・横約45㌢

リュートを調弦する女   


 「ワイングラスを持つ娘」1659~1660年頃      「手紙を書く婦人と召使い」1670年頃 

ワイングラスを持つ娘 手紙を書く婦人と召使い  

 (左) 赤がここにも効果的、衣裳・ステンドグラス。ターバン。 耳飾り。 テーブルのオレンジ、 黄色。 縦約78㌢・横67㌢
 (右) 机にかけてある厚地の布  壁の絵  一方からの光り  複雑に分けられる画面  それぞれの質感  床の模様  丸めた手紙  印章?など 約72・約60㌢  

ヴァージナルの前に座る若い女


 「ヴァージナルの前に座る若い女
         1670年頃 

  真贋取りざたされたが、 椅子の背もたれのウルトラマリンブルー。 1670年前後に流行したらしい髪飾りも決め手となって◎
 
髪型も似ている
 「レースを編む女」 に 制作年が一致。 キャンバス地の縦糸横糸のムラまでよく似ている、 絵の幅もほぼ同じ と。 縦約25・横約20㌢

 

 

 

  マルタとマリアの家のキリスト 

  前後したが 2階がフェルメールコーナーで、 一番目に展示されている。 珍しく宗教画  

  「マルタとマリアの家のキリスト」 1655年頃

   縦約160㌢・横約142㌢
  フェルメールの作品中最大かつ 最も初期に描かれた

 やわらかな筆致に惹かれる。 マルタを中心に。
 かいがいしく働く… 女性の美徳とされた。
 
  

 
 「ディアナとニンフたち」1655~1656年頃

ディアナとニンフたち修復前  ← 修復前

 月と狩りの女神
  神話による  

  明るい背景(空)は別人により後世加筆されたもの という。 今回展示された修復後の作品↓。 
 洗浄の結果、 背景は暗くなっている。 全体の色も落ち着いている。

修復後     

 

 

  
 

       -☆- 

 まず フェルメールの絵ばかり並べてしまった
 光の天才画家とデルフトの巨匠たち  フェルメール展 
 
 ほかに レンブラントに天才と称され、フェルメールの師であったと伝わるカレル・ファブリティウスや、デルフトに特有の技法を確立させたピーテル・デ・ホーホなど展示 (チラシによる)
  
     フェルメールに影響を与えたデルフトの巨匠たちの作品

  さらに  すぴかさん(1) (2) 、 Takさん(1) (2) のページに 詳しく載っています。 

  図録は買わなかった。 実物の色は 胸に留め、   絵はがき 号外など参考に

 

 

  
コメント (4)
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