ドアの向こう

日々のメモ書き 

牡丹から

2010-04-20 | こころ模様

  ようやく牡丹が開花した。 二年越しの絵もしあげないといけない。

      白牡丹といふといへども紅(コウ)ほのか     虚子


  「藝術の国日本 画文交響」(芳賀 徹)をゆっくり読んでいる。 作者の文学や絵画に寄せる情熱や喜びが伝わって、 ひきこまれる。 高浜虚子のフランス吟行についても、 船に揺られお供するような気分になった。 
 虚子の 生涯はじめての、そしてたった一度のヨーロッパ巡遊 がたっぷりと語られて、 芳賀先生の湧き溢れることばは深く、 いつも愉しい。
 展覧の画文交歓も思いだされ至福の時はまだしばらくつづく。 何しろ612ページもあるのだから。 

                 -☆-

 庭陰に白菫も咲いた。 以前はたくさんあったのが後輩の草花に押されてひかえめ。 見逃すところだった。  

  

     つちくれの小さき日陰に菫かな    虚子
 
  手前の大きな葉はホトトギス。 若葉に斑点がみえる。 葉の模様まで鳥に似るとは知らなかった。 そのうち消えて濃緑の無地になる      

 さて、
   虚子は 彼の地で
   「俳句講話」を開き…  
  フランス詩人の俳句風短詩の寄せ書きを贈られ…
   催されたのは パリの日本料亭 牡丹屋   だった。
 
 
 偶然の 牡丹繋がりもある。 せまい庭の物思いは 虚子や子規の「ホトトギス」にも広がってなんだかうれしい。  

      宝石の大塊のごと春の雲       虚子  

 大著は 晩春の愁いを吹きはらい、 こころ踊るゆたかな時間をくれる。 
 味わいながら、しみじみ日本人でよかったとおもう。 
  その引用は 良書を開くたのしみを増やした。   
   

 

 

コメント (2)
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