ようやく牡丹が開花した。 二年越しの絵もしあげないといけない。
白牡丹といふといへども紅(コウ)ほのか 虚子
「藝術の国日本 画文交響」(芳賀 徹)をゆっくり読んでいる。 作者の文学や絵画に寄せる情熱や喜びが伝わって、 ひきこまれる。 高浜虚子のフランス吟行についても、 船に揺られお供するような気分になった。
虚子の 生涯はじめての、そしてたった一度のヨーロッパ巡遊 がたっぷりと語られて、 芳賀先生の湧き溢れることばは深く、 いつも愉しい。
展覧の画文交歓も思いだされ至福の時はまだしばらくつづく。 何しろ612ページもあるのだから。
-☆-
庭陰に白菫も咲いた。 以前はたくさんあったのが後輩の草花に押されてひかえめ。 見逃すところだった。
つちくれの小さき日陰に菫かな 虚子
手前の大きな葉はホトトギス。 若葉に斑点がみえる。 葉の模様まで鳥に似るとは知らなかった。 そのうち消えて濃緑の無地になる
さて、
虚子は 彼の地で
「俳句講話」を開き…
フランス詩人の俳句風短詩の寄せ書きを贈られ…
催されたのは パリの日本料亭 牡丹屋 だった。
偶然の 牡丹繋がりもある。 せまい庭の物思いは 虚子や子規の「ホトトギス」にも広がってなんだかうれしい。
宝石の大塊のごと春の雲 虚子
大著は 晩春の愁いを吹きはらい、 こころ踊るゆたかな時間をくれる。
味わいながら、しみじみ日本人でよかったとおもう。
その引用は 良書を開くたのしみを増やした。