ドアの向こう

日々のメモ書き 

アイドルの座

2005-05-27 | 犬のブロンコ・ダン
  話を前にもどそう

 四ヶ月頃から。耳はろうそくの炎のような形で立ち上がり、かすかな音にも反応した。まるでパラボラアンテナだ。キャッチした音に沿い、寝ていても向きがすこしづつ変わる。熟睡はないらしい。

 TVの音量にも左右されず、室内にいながら門が開いたのがわかってしまう。さすが感度よし!
 アンテナは野鳥のさえずりを拾い、猫の進入をとらえた。お菓子の缶を開ける、袋をやぶる、ゆで卵をむくかすかな音、キュウリを刻むおと。おどるように、どこにいても跳んでくる。

 嗅覚たるやおそるべし、サッシやドアの向こう側にいるひとが家人か、そうでないか区別する。見えなくても関係ない。河原で石を投げる。何百、何千という石ころの中から、たったひとつ 主人が放ったそれを探し出すという。ひとの何千倍、何万倍だというのも聞いた。
 
 すっかり成犬の姿だが、スリッパはぼろぼろ、ソファーに穴をあけ、やんちゃぶりが目立ってきた。
 外出から戻ると態度がおかしい。叱られる前に、きっちり自己申告だ。そこは偉い! ほんとは偉くない誰かさんにも聞かせたい。
 いつもなら声を裏返し、飛びついて「はあ、はあ… お帰りなさい」が盛大につづく。たとえ短時間でも。

 まずは迎えに出ない。奥で、なんかよそよそしい、伏し目がちに固まってふるえる。かわいそうな犬です、と演技する。
やっぱりね! 決まって何事かおきている。

 呼んだって出てこない。
 「よし!!」の一言をひたすら待っている。
それがまたいじらしくみえるのだから、困りものです。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夏の準備 | トップ | 琵琶の音色 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
カンガルー風のラグビーは (たこ)
2005-05-27 22:27:18
Vネックセーターに収まってすまし顔ですね。



呼んでも出て来ない時にはスリッパがかじられていたりするのですね。



大人犬になるとあまりいたずらはしないのですか?知能犯みたいないたずらをしたことがありますか?よかったら教えてください。
返信する
犬も青ざめる (ラグタイム)
2005-05-28 07:02:42
 たこさん 愉しい質問ありがとうございます。



 書くつもりもなく詳細をほとんど忘れました。いたずらは他愛のないこと。テニスボールをむしり取り、芯だけにしたり、タオルをふりまわしてぼろぼろにしたなど。特に知能犯的なことはなかったです。飼い主に似てマヌケ。



 それよりも、感情や態度に心奪われていました。

 ぜんぶ顔に出ますから。ショックに黒い顔が青ざめて見えるときもある。小さい、しかも犬、畜生と言われる。しかし、これほどゆたかで繊細な感情、喜怒哀楽がはっきりしている。ときにひと以上の情感、驚きの日々です。

 大人になってもいたずらは抜けないかな…



老犬のいまは、泰然としてなにごともなし
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

犬のブロンコ・ダン」カテゴリの最新記事