想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

失われゆく森と水

2008-11-08 09:43:09 | 
  今から五十数年前、レイチェル・カーソンは自然環境は
  つながっているということをもっと真剣に考えよと警告した。
  アメリカは大統領選挙でウイキャンとみんなで絶叫していたが
  その国の良心はこの数十年、どこへ行っていたか?
  海洋生物学者であるレイチェル・カーソンはカリフォルニアの
  海辺から川を遡って森、逆に海底へと観察の眼を広げ、深い思索で
  すべてのものが循環し連鎖していることを確かめた。

  その著書は「沈黙の春」でよく知られているが、
  遺作未発表の講演録や手紙などを収録した遺稿集「失われた森」
               (2000年集英社刊、古草秀子訳)

  本棚から取り出したのは、ここに書かれているはずの雲の話を
  読みたかったから。

  雲はどこからやってくるの? とある日、空をみながら
  うさこはねずみ師に聞いたことがあり、
  「海から」と言われて仰天したのでした。
  ええええっ、空からじゃないの? と。

  物事には元(もと)があり源(もと)があり宗(もと)が
  あり、すべてはひものように続いているのだということを
  旧事で学んでいても、どっこい現実のことに疎いうさこは
  小学生なのであります。
  だから、なぜ? なぜ? としょっちゅう尋ねています。

  風に巻き上げられた水蒸気の微粒子が貿易風に運ばれ、大気へ
  吸い込まれ、雲になり旅をしているわけでした。

  「地球の水のほとんどすべては海にある、
   海以外にはわずか3パーセントしかない。
   だがその3パーセントが、陸の居住者である私達を
   支えている。――略
   水はたえず海から陸へと運ばれる。
   そして植物や動物の生命を支える。」とカーソンは記していて
  雲について書かれた記述は詩のように美しいのです。



  この話を思い出したのは、庭の木々がいちだんと染まって
  美しいので、少し出歩いてみたら……
  森を下ったところにあるダムの周辺へ行くと
  水がめを見下ろし、見守るように茂った木々は、盛装して
  静かな宴をしていたからでした。
  鮮やかな色を競いあうでもなく、あたりまえのように木立はあり
  人がこれ以上、立ち入るのを拒んでいるようにも見えました。
  そっとしておいてくれたら、来年もさ来年もまた宴を見れますよ、
  だれにもここを教えないでねーと。

  戻ると現れた塗装屋のおじさん、
  「知っとるかー、ダムへ行け。ダムがいつばん、きれいだっぺ」
  いいふらしてるなあ、うれしがっちゃって。

  自然の恵みを食い散らかして、ダイエットなんて言ってるのは
  愚かで、申し訳のないことであります。
  雲の話でも読めば腹八分の一分くらいは雲で満たされます。
  ほんとです。
  美しいものはお腹にたまる、これも食物連鎖、眼には見えねど。  
  
  
コメント
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