林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

鯉のぼり

2007-04-23 | 歌の翼に

  「屋根」 森男画

 比企の里山に鯉のぼりが翩翻(へんぽん=ひらひら)と翻って(ひるがえって)、気持ちの良いドライブだった。
森林公園への往復。窓を全開にして、緑の風を肺一杯に吸い込んだ。

    の波と雲の波
    重なる波の中空を
    かおる朝風に
    高く泳ぐや鯉のぼり

    開ける広き其の口に
    舟をも呑まん様見えて
    ゆたかに振るう尾鰭には
    物に動ぜぬ姿あり

    瀬のを登りなば
    忽ちになりぬべき
    わが身に似よや男子
    空に躍るや鯉のぼり

 大正二年、純情小学校唱歌である。
「じゅんじょう」なんて、阿呆パソでは変換しない。まあ、実情と大分違うが、「純情」と出たままにしておこう。

 行進曲風の曲は良いが、歌詞が難解だ。

 =いらか=屋根の背。屋根の棟瓦。
          (へえ、そうだったのか。瓦と思ってた。や~ねぇ)
 =たちばな=食用柑橘類の総称。日本橘または枳殻花の別称。
 尾鰭=おひれ=尾とひれ。
 =もも=数の多いことを示す語。
 =たき
 忽ち=たちまち
 =りゅう=想像上の動物。
         中国で、心霊視される鱗虫の長。鳳・麟・亀とともに四瑞の一。
         よく雲を起こし雨を呼ぶという。
                    インド神話で蛇を神格化した人面蛇身の半神。大海や.......以下略
         (相変わらず、電子辞書は意地悪。一度では用が済まない)
 男子=おのこ=男の子

 実家の柱や長押や梁は太かったが、屋根はトタンだった。
関東大震災のすぐ後に建てたので、祖父が当時の最新工法を採用して、軽い屋根にした、と父は言っていた。
トタンでも雲型の飾りが付き、トタン甍(早速使うのだ)があった。
雲の中に雀が巣を作り、青大将が卵を採りに登って、大騒ぎをしたことがあった。

 当時は大家族。中学生になってからは、屋根裏部屋をあてがわれていた。
夏の夜、大雨が降ると、物凄い音がして目が覚めた。
真夏の昼間は暑くて、いられたものじゃなく、瓦屋根の家が羨ましかった。

 日本の町が、みっともないのは、ばらばら、まちまちの屋根が原因の一つだと思う。
 カープカプカプカと聞こえる広島カープ応援歌もばらばらで、みっともない。
鯉のぼりの歌こそカープの応援歌にふさわしい。
高校野球の行進曲にして、国語力の向上に役立てるのもいいかも。

 この歌は、甍の波の町の鯉のぼり。
新緑の波の比企丘陵に泳ぐ鯉のぼりにも、よく似合う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿