再び霧の朝。
暗い!
そう思って時計を見るともう7時に近い。
この暗さ、なぜ?どこから、
いつもならカーテンを押すようにもれてくる朝の光が飛び込んでこない。
不思議だ・・・そう思って外に出る。
街が深い霧の中に埋まっている。
再来・・・
再び訪れた深い霧、何もかもを包み込むように沈み、私が見つめる数十メートル先がこの前と同じように消えている。
ミルクに墨を少し垂らしたような乳白色が、街を、森を . . . 本文を読む
いつ雨が。
昨日の雨は私に何を語っているのだろう・・・
寒さへの回帰か?凍てつく寒さの訪れか、いま灰色に染まった空から一通のかラブレターが届けられる。
暗いな・・・そう思いながら、そっとこじ開けたカーテンの隙間から外を見る。
「おお雨止んでいる」
つい嬉しくなって、扉を思い切り開けて外に飛び出すと、
「おや?何、この暖かさ」そんな暖かい朝が、両手を広げて抱きついてくる。
いつもの冷たい口づけはな . . . 本文を読む
冬が訪れる。
もう終わりか・・・
山茶花が散り始めている。
この冬に花を添えるさざんかの一輪。
少し影がさしているこの臙脂が、あの人の唇に塗られた紅い口紅を想いださせる。
この刺すような寒さのなかでのこの色は魅力的、
寒さを手玉に取るように咲いていた花群が、そろそろ冬の花占い始める。
一枚・・
取っては涙を流し、地を染めている。
不思議とこの色、鮮やかさに欠けるけどよく目立つ、
忘れよう・・ . . . 本文を読む
友人が漏らした一言。
久しぶりに会った友人たち。
その人が漏らした一言、もう私たちは立派なオバサン。
「あなたがオバサンなら私はオッサン、その表現嫌いだね」そう言った私、
確かに子供の若さ、体力はないけど、一人の男としての感性、前向きな情熱は失せていない。
女性だってそれは同じ。
家庭、育児、仕事・・・毎日一人の母として大変だけど、それにとっぷり浸かって自分を忘れたらおしまい。
あなたは主婦だけ . . . 本文を読む
咲き始めた水仙
何もない・・・枯れた山野の中で咲き始める故郷の花、水仙。
私が恋をするように求めて止まない地味な花、
素朴で質素で地味な色彩、でも香りは恋する熟女の甘い・・・酔わせる匂い。
私の荒んだ時間を忘れさせてくれる、あるひとりの女の匂いかな・・・。
この時期、時雨のなかで健気に咲く大人の恋花。
この素顔の香り高い水仙が大好きで、いつもこの時期になると、
私の足は故郷の越前岬に向かう。
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