俳優としての福山雅治さんには「龍馬伝」「るろ剣」程度でしかお目にかかったことはないのですが、この作品自体には興味がありました。参加している俳優陣も「外れなし」な感じでしたし。
さて、「子供の取り違え事件」
この題材って、昭和のテレビドラマや少女漫画で結構取り上げられてましたよね。
で、その多くが家庭環境に「結構な格差」がある、というもので、取り違えられた多くは「女の子」でした。この作品も事実に基づいて作られていて、当の子供たちも女の子だったそうです。
映画ではその子供が「男の子」で描かれています。
で、この作品。
正直「なんだかな~」っというのが感想です。
結局自分の子を引き取ったのか、これまでのように相手の子供を自分の子として育てることにしたのか、がはっきり描かれていないのです。
家族同士の交流はその後も続けられたのだろう、ということはわかるのですが。。。。
実の親子に拘る主人公の、心に巣食う「彼自身の葛藤」の描かれ方も中途半端でね。
決定的な違和感は「子供たちの気持ちが」全く抜け落ちている、ということ。
主演、福山雅治なので、「彼」を描くことが(マーケット的に)大事だったのかもしれませんが、子供の気持ちの変化や葛藤が全く描かれていない気がしてならないんですね。
唯一あったのは、育てた子供への愛しさに改めて気付き、引き取るべく向かったのに、当の子供から拒否されてしまう、という場面での子供の描かれ方くらいでしょうか。
親に葛藤があったように、子供たちにも葛藤はあったはずなんですね。
「親が自分を置き去りにしようとしている」ことへの、不安や疑問、怒りや悲しみ。
それが、描かれていない。
子供二人が無言で見つめ合うシーンだとか、
自分の親をじっと見つめるシーンだとか、
それぞれに持ち味のある子役ゆえに「勿体ないな」と思えたんですよね。。
台詞を付けないなら、それなりの「子供の心」が感じられるシーンが欲しかったかな、と感じますが、いかがなものでしょうね?