笑うかどには福きたる

日常生活で見たこと、聞いたこと、感じたことを牧歌的にのんびりと書いています。

「新宿鮫 狼花」 読了

2006年10月24日 11時36分15秒 | 読書
ひょっとしたら、この作品には「続編」が用意されているのではないだろうか。。。というのが正直な感想でした。
そしてその続編は間をおかずに発表されるような気がするのです。その理由は、

結末が「終わり」ではなく「始まり」を予感させるから。
(「何も終わってないじゃん!」と言うのが私の第一声です。)

「新宿鮫」シリーズは当初、劇画感一杯の作風だったのですが(「毒猿」(2/9作目)は超お勧めです)、「氷舞」(6/9作目)あたりから徐々に社会派小説の色が濃くなり、前作の「風化水脈」(8/9作目)では落ち着いた読み物として感じられてきていたのです。
で、9作目になるこの「狼花」。出版されたばかりなので内容は書きませんが、いきなり読むには無理があって、せめて「炎蛹」(5/9作目)、「氷舞」あたりには目を通すことがお勧めかと。ここで登場するキャラクターが今回の作品の核になるからです。
ちなみに「狼花」のコピーは「これは問題作だ」でしたっけ? たしかに大問題です。
主要なキャラクターをここまで「壊し」ちゃっていいんですか、大沢センセイ(笑) これってちゃんと「おとしまえ」つけてくれるのでしょうねぇ、と(笑)

今回の作品に対してはファンの間でも賛否両論あるようですが、私的にはいいと思っています。
「新宿鮫」シリーズを今後は地に足の着いた人間ドラマに近いものとして「進化」(「変化」ではない)させるつもりなのでしょう。
ひょっとしたら、大沢センセイ個人の「進化」かもしれませんが。(笑)

「小説よりも奇なり」「現実の上をゆく」今の犯罪や意識の変化の中で、読者サイドから見ても、もはや鮫島の使命感や正義感には「無理」を感じてしまうのも否定できないように思うのです。鮫島を正義の番人として存在させるのなら、このシリーズも仕立ての進化をせざるをえないように思えます。
ただその進化が、作中のみならず「鮫島、終わりかも~」と、読者まで遠ざけてしまうのでは。。。と鮫ファンとしてちょっぴり寂しい気持ちになったりもするわけです。

いろいろな意味で「より良く進化した新宿鮫」を読みたいな~というのが、ファンの願いなのですけどね。
「より良く」の味付けが多方面過ぎて一番難しいのは分かっているのですが、いずれにせよ、早く続きを読みたい!作品には間違いないのです。

ところで、P507の11行目の「求職処分」は「休職処分」の間違えではないでしょうか? 光文社さん。
(クライマックスなのに噴出しそうになりました)

※今回はコメントを開放してあります
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