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とくおかレディースクリニック~ブログ~

日々、徒然なるままに、書き込んで参ります。
どうか宜しくお付き合い下さい。

2月のラボ便り

2023年02月04日 | ラボ便り
2月のラボ便り

皆様、こんにちは。

寒い日が続いておりますが、お元気にお過ごしでしょうか?

今回のラボ便りでは
人工授精についてお話させて頂きます。

人工授精は精子を直接子宮内に届ける治療方法です。

タイミング治療では、
膣内に射出された精子が、膣と子宮の間にある頚管で全て阻まれることがあります。
その場合、精子は子宮や・その先にある卵管まで到達しない為、
卵子と出会うことが出来ません。

人工授精では子宮内へ直接精子を注入することで、
卵子と出会う可能性を上げることが出来ます。
精子の状態が良くなかった場合や、
性交障害、タイミング療法で結果が得られなかった場合などに有効な治療方法です。

人工授精を行う際は、
細く柔らかいカテーテル(チューブ)を使用し、調整した精子を直接子宮内に注入します。

精液を調整する目的としては、
1、より多くの運動精子を集める
2、精液中の不要な成分を取り除く
があります。

精液中には、正常な運動精子以外に、
不動精子や奇形精子、細菌や白血球、衣類の繊維などの不純物が含まれています。
射出された精液をそのまま子宮内に注入すると、
細菌感染の恐れや精液中に存在するプロスタグランジンによる子宮収縮作用によって、
痛みを感じることがあります。

精液を調整する際は、試験管内の特殊な培養液に精液をのせ、遠心分離機にかけます。
そうすることにより、
不純物が試験管内の上層へ取り除かれ、良好精子が下層へ集まります。
このようにして集めた調整精子を、排卵前の時期に子宮の中へ送り届けます。

人工授精後の妊娠が成立するまでの流れは、自然妊娠と全く同じです。
子宮の中へ送り届けた精子は、精子自身の力で卵管を泳ぎ、卵子と出会って受精が起こります。
人工授精も自然妊娠の範疇となります。

人工授精を数回行っても妊娠に至らない場合には、
ピックアップ障害などの人工授精では解決出来ない不妊原因が疑われるため、
体外受精へのステップアップをお勧め致します。

何かご不明な点がございましたら、
いつでもスタッフまでお声掛け下さい。
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1月のラボ便り

2023年01月06日 | ラボ便り
1月のラボ便り

明けましておめでとうございます
年末年始、皆様はいかがお過ごしでいらっしゃいましたか?

2023年も、スタッフ一同、
皆様が子宝に恵まれますよう努めて参ります。

今回のラボ便りでは
体外受精についてお話させて頂きます。

体外受精とは、本来身体の中で行われる
“受精”という現象を体外の環境で
再現し受精卵を得ることです。

受精を起こす方法は、2つあります。
1つは、顕微受精です。
卵子に細い針を刺し、直接卵子内に精子を注入する方法です。
もう1つが体外受精(媒精)です。
調整した精子を振りかけて(10万匹前後)
培養し、受精を促します。

媒精は、精子が自力で泳いで卵子へたどり着くがので、自然に近い受精方法と言われていますが、
精子の数や動き形が良好でないと受精は成立しません。

卵子は卵巣から体外に取り出された直後は卵丘細胞に覆われています。
媒精後精子は、卵丘細胞に向かって泳いでいきます。
精子の頭には酵素が入っており、酵素により卵丘細胞を溶かし卵子に向かっていきます。

卵子に到達した精子は、
透明帯(卵子の中身(細胞質)の周りを取り囲み卵子の保護などの機能を担っている“殻”のようなもの)まで到達すると同様に、
頭から出た酵素を使って透明帯を溶かしながら細胞質に向かって行きます。

最終的に精子頭部が細胞質の表面に触れて融合し中に取り込まれることで、
精子は自ら卵子の中に入ります。
卵子は精子の侵入を察知すると、透明帯を固める指令を出し、
2個目以降の精子が卵子の中に入らないよう防ぎます。

しかし必ずしも全てが正常に受精するとは限らず、
・精子が2個以上入ってしまう
・卵子や精子に染色体異常がある
・精子が卵丘細胞や透明帯を貫通出来なかった
このような場合は正常な受精が起こりません。

何かご不明な点がございましたら、
スタッフまでお声掛け下さい。



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12月のラボ便り

2022年12月06日 | ラボ便り
12月のラボ便り

皆様、こんにちは。
寒い日が続いておりますので暖かくして体調には気をつけてお過ごし下さい。

今回のラボ便りでは、顕微授精についてお話します。

顕微授精とは、細いガラス針の先端に1個の精子を入れて顕微鏡で確認しながら卵子に直接注入する受精方法です。
受精の最初の段階である、卵子への精子の取り込みを代用することが出来ます。

卵子に精子を振りかけて自然に受精が起こるのを待つ“体外受精”という受精方法では、
必ず精子が卵子内に入ってくれるという確証はありません。
顕微授精では、確実に精子を卵子内へ注入するので、受精率が上がります。
また、体外受精では一定数以上の良好運動精子が必要となりますが、
顕微授精では1つの卵子に対して1つの精子を注入するので、
精子の数が少ない場合でも受精卵を得ることが出来ます。

しかし、顕微授精を行ったからといって、必ずしも受精するとは限りません。
顕微授精を行っても受精しない場合に考えられることとしては、
・卵子や精子に染色体異常があった
・精子が卵子内に侵入した際にカルシウムイオン濃度が上昇し、卵子活性化が起こる必要があるが、
これが起こらなかった(精子の状態が悪かった)
・卵子にガラス針を刺して精子を注入する際の衝撃により、卵子が変性してしまった
などが挙げられます。

体外受精・顕微授精などの生殖補助医療は、タイミング療法・人工授精などの一般不妊治療と比べると、
通院回数や費用負担は増えますが、妊娠率は大きく上がります。
一般不妊治療では解消出来ない、妊娠に至らない原因を解消することが出来るからです。
治療のステップアップを考えてる方々に、顕微授精について少しでも多く知って頂けたら幸いです。
何かご不明な点がございましたら、スタッフまでお声かけください。


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11月のラボ便り その3

2022年11月08日 | ラボ便り

11月のラボ便り

昨日「その2」の続きです。

また、同じ時間培養を行った場合、より大きく成長した胚盤胞は小さいものよりも妊娠率が高いとされています。
当院では、細胞の状態を評価するGardner分類だけでなく、胚盤胞の大きさも考慮して評価を行なっております。
従って、サイズの小さい4ABの胚とサイズの大きい4BBの胚を比べると、4BBの方が妊娠率が高いという評価になることがあります。

胚のグレードについてお話をしましたが、グレードが一番良い胚が100%妊娠に至るというわけではありません。
グレードが良い胚であっても染色体異常を持ち、着床しない可能性があります。
また、評価の高い胚で妊娠した場合と評価の低い胚で妊娠した場合で、
誕生する赤ちゃんに差が生まれるということはありません。

『あくまでグレードは妊娠の可能性を示唆するものです。』

画像は、グレード“4AB”の胚盤胞です。
黄色で囲ってある部分が胚盤胞腔です。
赤色で囲ってある部分が将来赤ちゃんになる部分の細胞(内細胞塊)、
青色で囲ってある部分が将来胎盤になる部分の細胞(栄養外胚葉)です。

何かご不明な点がありましたら、スタッフまでお声がけ下さい。


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11月のラボ便り その2

2022年11月07日 | ラボ便り

11月のラボ便り

昨日、11月6日の続きとなります。

評価の詳細は以下の通りです。
①成長具合
1:初期胚盤胞・・・胚盤胞腔が50%以下
2:初期胚盤胞・・・胚盤胞腔が50%以上
3:完全胚盤胞・・・胞胚腔が完全に広がっている状態
4:拡張胚盤胞・・・胞胚腔が完全にいきわたり、透明帯が薄くなっている状態
5:孵化中胚盤胞・・・透明帯から胚の一部が出ている状態
6:孵化後胚盤胞・・・透明帯から胚が完全に出ている状態

②将来赤ちゃんになる部分の細胞(内細胞塊)
A:細胞同士の密着が密で、細胞の数が多い
B:細胞同士の密着が粗で、細胞数が少ない
C:細胞数が非常に少ない

③将来胎盤になる部分の細胞(栄養外胚葉)
A:細胞数が多く、互いに接着した上皮を形成している
B:細胞数が少なく、結合が粗な上皮を形成している
C:数が少ない、大きな細胞が上皮を形成している

「その3」に続きますね。

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11月のラボ便り その1

2022年11月06日 | ラボ便り
11月のラボ便り

皆様、こんにちは。

10月のラボ便りに引きづづき、受精卵(胚盤胞)のグレードについてお話致します。

胚盤胞の評価は、主に“Gardner分類”を用いて行います。
Gardner分類では、
・胚盤胞内の空洞(胚盤胞腔)の発育段階
・将来赤ちゃんになる細胞(内細胞塊)
・将来胎盤になる部分の細胞(栄養外胚葉)
の状態を評価します。

“4AB”のように、数字とアルファベット2つで表します。
数字は胚の成長具合を指します。
1から6で表し、数字が大きくなる程成長が進んでいます。
左のアルファベットは将来赤ちゃんになる部分の細胞(内細胞塊)の状態、
右のアルファベットは将来胎盤になる部分の細胞(栄養外胚葉)の状態を指します。
A、B、Cの3段階で表し、Aの方が細胞が多く良い常態です。

「その2」に続きます。
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10月のラボ便り

2022年10月06日 | ラボ便り
10月のラボ便り

皆様、こんにちは。
秋らしい気候になってきましたね!
季節の変わり目で体調を崩さぬようお気をつけ下さい。
今回のラボ便りでは、受精卵(初期胚)のグレードについてお話致します。

受精卵のグレードの付け方には、時期に応じて2つあります。
1つ目はVeeck分類という方法です。
こちらは、受精して2~3日目の受精卵(初期胚)を評価する際に用いられます。
2つ目はGardner分類という方法です。
こちらは、受精して4~5日目の受精卵(胚盤胞)を評価する際に用いられます。

卵は受精すると、1つの細胞が2つ、2つが4つ、4つが8つ、、、というように、段々分割して成長を進めていきます。
(必ず偶数の数で分割していくわけではありません。)

この分割した細胞一つ一つの事を“割球”と呼びます。
卵が分割していく過程で、“フラグメント”という割球ではない細胞の粒が出てくることがあります。
このフラグメント自体が卵に悪影響を及ぼすわけではありません。
しかし、フラグメントが多い卵は、少ない卵よりも染色体の異常を持っている確率が高い=妊娠率が低いとされています。

Veeck分類では卵を、割球の数と数字のグレードで評価します。
グレードは下記のように5段階で付け、数字が小さい方が良い=妊娠率が高いと判定します。
グレード1:割球の大きさが均一/フラグメントが見られない
グレード2:割球の大きさが均一/フラグメントが少し見られる
グレード3:割球の大きさが不均一/フラグメントが少し見られる
グレード4:割球の大きさが不均一/フラグメントが卵の半分に見られる
グレード5:卵のほとんどにフラグメントが見られる
例えば、割球が8個あり、割球の大きさが均一でフラグメントが少ない卵は、“8細胞期グレード2”と評価します。

割球の大きさは、分割の過程で均一になったり不均一になったりと変化があります。
また、フラグメントも出現したり吸収されたりすることがあります。
したがって、一度評価したグレードは全く変わらないというわけではなく、
卵の成長過程で変化していくことがあります。
何かご不明な点がございましたら、スタッフまでお声掛け下さい。


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9月のラボ便り

2022年09月07日 | ラボ便り
9月のラボ便り

皆様、こんにちは。
まだ暑い日が続きますので、しっかりと水分補給も忘れずに体調には気をつけてお過ごし下さい。

今回のラボ便りでは、精液検査についてお話します。

精液検査とは、不妊治療において男性に必要な基本的な検査の1つです。
他には、脳下垂体から分泌される「FSH・LH・プロラクチン」と、
主に精巣で作られている「テストステロン」の値を測定するホルモン検査や、
精巣の容積、精管の有無、精索静脈瘤の有無などを調べる睾丸検査が基本的な検査にあげられます。

精液検査では、精液量、精子濃度、精子運動率、精子奇形率について調べます。

WHO(世界保健機関)が定める精液検査の基準値としては、
精液量:1.4ml以上 精子濃度:1600万/ml以上 運動率:42%以上
とされています。
当院では、この基準値を元に定めた基準値を用いています。

精液中に精子が全くない状態を無精子症、
精子濃度が低い状態を乏精子症、
奇形率が高い状態を奇形精子症と診断します。

男性の精液所見は日によって変化があるので、
1回目の検査で良い結果が出た場合でも、
再検査をして結果が悪いこともあります。
ですので、複数回検査をすることが必要です。

一般的に、不妊症カップルの不妊原因の約半数が男性側にあることが分かっています。
精子の状態を悪くする原因としては、
喫煙や男性の加齢、過度のアルコール摂取、肥満、ストレス、高温環境などが考えられています。

不妊治療は、どうしても女性に原因があると思われがちですが、
男性にも原因があることは珍しくないことですので、
まず男性は精液検査を始めとした基本的な検査3つを行うことをおすすめ致します。

ご不明な点がございましたらスタッフへお声がけ下さい。

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8月のラボ便り

2022年08月11日 | ラボ便り
8月のラボ便り

皆様、こんにちは。

8月に入り猛暑の毎日ではございますが、
体調を崩さないようお気を付けてお過ごし下さい。

今回のラボ便りでは、検卵についてお話します。

採卵手術は超音波モニターを確認しながら
卵巣内の卵胞を細い針で刺し
卵胞内の液体(卵胞液)を吸引していきます。
ですが、回収された卵胞液内に必ずしも卵子が入っているとは限りません。

検卵とは、採卵で採取された卵胞液の中から卵子を見つけ出し回収することです。

検卵の流れを説明します。

採卵によって回収された卵胞液は
オペ室と培養室をつなぐパスボックスを介し迅速に培養室へと運ばれます。
培養室に届いた卵胞液を顕微鏡を用いて観察しすばやく卵子を見つけ出します。
卵子は顆粒膜細胞(卵丘細胞)というモヤモヤした細胞に囲まれた状態で卵胞液内に存在します。
この卵子と顆粒膜細胞の周りに付着した血液や卵胞液等を取り除きながら回収していきます。

回収された卵子は培養液が入ったディッシュ(お皿)に移し、
受精卵を培養する際に用いられる
インキュベーターという体内の環境を再現している機械の中で保管されます。
その際、必ずスタッフ2名で名前の確認をし
卵子の取り違えのないよう徹底しております。

また、検卵が終えた卵胞液は別のスタッフが確認し、卵子の見逃しがないかダブルチェックを行ないます。
患者さんから回収された卵子を1つも見逃すことなく全て回収するために行っております。

検卵の様子は採卵中にオペ室のモニターで
ご覧いただけます。

何かご不明な点がございましたらスタッフまでご質問下さい。

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7月のラボ便り

2022年07月05日 | ラボ便り
7月のラボ便り

皆様、こんにちは。

梅雨が想像以上に早く終わり、毎日日差しがジリジリと痛く感じる位暑いですね!
くれぐれも熱中症にならないように、気をつけてお過ごし下さい。

今回のラボ便りでは、無精子症についてお話します。

無精子症とは、精液中に精子が確認できない状態です。
一般的に100人に1人位の割合で無精子症の男性がいらっしゃるとされています。
無精子症は大きく2つに分けることが出来ます。

*閉塞性無精子症
精子は精巣内で作られているが、
精子が射出されるまでの通り道(精管や精巣上体管など)が閉塞している為、
精液中に精子が確認できない状態

*非閉塞性無精子症
精子が精巣内で作られていない、もしくは精子を作る機能が低下している状態

無精子症の原因として、それぞれ以下が挙げられます。
*閉塞性無精子症
・精管の閉塞(幼少期のヘルニア手術後、パイプカット手術後、先天性の精管形成不全など)
・精巣上体での閉塞(精巣上体炎など)
・射精管での閉塞(炎症や外傷など)
*非閉塞性無精子症
・先天的なもの(染色体異常や遺伝子異常または原因不明のもの)
・後天的なもの(抗癌剤治療や放射線治療、ムンプス精巣炎(おたふく風邪感染後の精巣炎)

無精子症かどうかを調べる為には、まず精液検査を行います。
そこで精液中に精子が確認出来なかったとしても、
一回で判断するのではなく、数回再検査を行って診断します。

※射精のたびに精液中に精子が確認できたり出来なかったりする"隠れ無精子症(Cryptozoospermia)"のような場合もあります。
また、並行してホルモン検査や睾丸(精子を産生している精巣)の診察を行い、
閉塞性無精子症なのか非閉塞性無精子症なのかを推定し、治療方針を決めていきます。

射精が可能で精液が出ているからといって、必ず精液中に精子が存在するとは限りません。
無精子症の方の割合は、不妊治療をされている方々では100人に1人の割合よりも高いとされています。
また、無精子症ではなくとも、精子の数が少ない乏精子症や運動性が悪い精子無力症などの、
精子の所見に問題がある方が、これから妊娠を考えていこうとしている男性の7〜8%に認められるという報告もあります。
まだ精液検査を一度も受けられていないという方は、早めに受けられることをおすすめします。

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