2月のラボ便り
まだまだ寒さが続きますので、体調には気を付けてお過ごし下さいませ。
今回のラボだよりでは、
「精液検査で分かる男性不妊」についてお話させて頂きます。
まず、
精液検査とは、
精液量、精液中の精子濃度、運動率、前進運動率、正常形態率などを調べる検査です。
精液検査には、世界保健機構(WHO)で定められている基準値があります。
2021年のガイドラインによると、
精液量:1.4ml以上、精子濃度:1600万個/ml以上、運動率:42%以上、
前進運動率:30%以上、正常形態率:4.0%以上が、
精液検査の基準値となります。
この基準値は、「1年以内にパートナーが自然妊娠した男性の精液所見」を元に定められており、
基準値より低い項目があっても、「自然妊娠が不可能」というわけではありません。
精子濃度が基準値よりも低い場合を乏精子症、
精子の運動率が基準値よりも低い場合を精子無力症、
正常形態率が基準値よりも低い場合を奇形精子症と診断します。
また、精液中に精子が確認出来ない場合を「無精子症」といいます。
無精子症には、
「閉塞性無精子症」と「非閉塞性無精子症」の2つに分けられます。
「閉塞性無精子症」は、精子が精巣では作られていますが、
精子を体外に射出する為の精路(精管など)が閉鎖し、
体外に出てこないことをいいます。
「非閉塞性無精子症」は、
精子が精巣において上手く作られていないことをいいます。
どちらの無精子症かは精液検査のみでは診断出来ません。
「男性ホルモンの血液検査」や、「睾丸の触診」によって、
精巣の容積を調べることで鑑別します。
「無精子症」であっても、
精巣内精子採取術(TESE)を行い、
精巣から精子を回収することが出来た場合、
顕微授精を行って妊娠を目指すことが可能です。
不妊の原因は女性のみにあるわけではありません。
不妊で悩むカップルのうち、
約半分は男性側に原因があると言われています。
精液検査の結果によっては治療方針が大きくに変わる場合がありますので、
まずは1度検査を行ってください。
また、精液検査の結果は変動することが多いため、
1回の結果だけではなく数回行って状態を判断することが必要です。
当院では男性の検査として、
「精液検査」の他、
「男性ホルモンを調べる血液検査」や
「睾丸に異常がないかを調べる睾丸検査」を行っていますので、
合わせて検査を受けられて下さいね。
何かご不明な点がございましたら、スタッフまでお声かけ下さい。