皆様こんにちは!
新年度が始まり1ヶ月半が過ぎましたが、新しい環境や生活は慣れられましたか?
少しずつ疲れが溜まってくる頃ですので、どうぞ心身ともに健やかにお過ごし下さいね。
最近は毎日のように新型コロナウィルスのワクチン接種のニュースを耳にしますね。
「妊活中や妊娠中にワクチン接種をしても良いのか?」とご質問頂くことも増えてきました。
新型コロナワクチン接種に関して、
日本産婦人科感染症学会および日本産科婦人科学会から、現状において提言が出されたので一部ご紹介します。
1. COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対する安全性、特に中・⻑期的な副反応、胎児および出生児への安全性は確立していない。
2. 流行拡大の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない。
接種 する場合には、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出生児への安全性は確立していないことを接種前に十分に説明する。
同意を得た上で接種し、その後 30 分は院内での経過観察が必要である。
器官形成期(妊娠 12 週まで)は、ワクチン接種を避ける。
母児管理のできる産婦人科施設等で接種を受け、なるべく接種前と後にエコー検査などで胎児心拍を確認す る。
3. 感染リスクが高い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基 礎疾患を合併している方は、ワクチン接種を考慮する。
4. 妊婦のパートナーは、家庭での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
5. 妊娠を希望される女性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(生ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない。)
妊婦さんが新型コロナに感染することで、赤ちゃんが先天性障害を持ったり死産してしまうリスクが高くなるという報告は現時点ではありませんが、
重症化する割合や早産の率が高まるという報告があります。
ご夫婦でよくご検討下さい。
また、ワクチンが卵子や精子に影響することはありませんので不妊治療中にも接種可能です。
風疹ワクチンなどの生ワンチンと違い、接種後すぐに妊娠が成立しても問題ないとされています。
提言には、 『可能であれば妊娠する前に接種を受けるように』とありますが、接種するまで治療を中止すべきとまでは言えません。
妊活中の方のご年齢や体質によっては、治療を先伸ばしにすることで妊娠の機会を逃してしまう恐れもあります。
各自治体によって接種スケジュールは様々ですので、まずは不妊治療を優先して良いかもしれませんね。
もし接種前に妊娠することに不安が強いならば、
体外受精の採卵だけ先に行って受精卵を凍結保存しておき、
接種をした後で受精卵を子宮に戻す胚移植を実施する、といったことも出来ます。
患者さんお一人お一人、背景が異なりますので、様々な選択肢があるかと思います。
新型コロナウィルスの流行は昨年に始まり、およそ半年という極めて短い時間にワクチ ン開発が行われたために、
有効性や安全性に関する臨床データが十分とは言えません。
最終的には皆様のご判断となりますが、ご不安なことや疑問などはぜひご相談下さいね。
我々人類がコロナウィルスに打ち勝ち、
訪れる新しい時代を支えてゆく新しい命がひとつでも多く誕生することを願ってやみません。