大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 121『浦島太郎の言い訳・3』

2023-05-02 15:18:17 | ノベル2

ら 信長転生記

121『浦島太郎の言い訳・3信長 

 

 

 ボン!!

 

 絵にかいたようなエフェクトと煙で数秒間は目も開けられない!

 玉手箱から爆発的に湧き出した煙は、砂浜の半分も覆いつくしてしまうのではないかと思われたが、やがて、海の方に移動して大きな船の形になった。

「え……ええ!?」

 磯釣り専門漁師の浦島太郎は、船の巨大さ、いかつさ、物々しさに尻餅をついてる。

 草薙の剣のアッチャンも、勾玉の思金神(おもいかね)も、さすがに声も出ない。

「フフ、これなら鬼ヶ島にも強行上陸ができるぞ」

「きょ、強行上陸!?」

「左右の舷側に50門づつ、前後にもそれぞれ3門の大筒、鉄砲狭間も100門づつ。船べりは全て黒塗りの鉄板で覆いつくし、鉄砲や大筒を撃たれてもビクともするものではない!」

 そう、この大船は、石山本願寺攻めのおり、本願寺の坊主どもに武器や兵糧を送っていた毛利方、その水軍を打ち負かすために作らせた日の本一の戦艦! 安宅船なるぞ!

「ヒエエ……」

「浦島太郎! 貴様にこの安宅船の操縦と武器の操作をさせてやる、末代までの名誉と心得て励め!」

「お、乙ちゃん、いえ乙姫様、どうかご勘弁を( ノД`)」

「なんだとぉ、貴様、この信長……いや、乙姫の願いが聞けぬと申すか!?」

「だ、だって乙姫さま。あの大船は艪口だけでも100はございます。つまり艪を漕ぐだけでも100人、三交代にしても300人は必要です。加えて、帆や舵を操る者が100。合わせて400は必要でございましょう」

「さすがは、日本昔話随一の漁師、よくぞ言い当てた」

「それに、鬼ヶ島に着いたら、上陸して戦う兵の数が300!」

「ああ、それは乗組員が兼ねればいい。上陸しさえすれば、この信……乙姫に歯向かえる鬼などおらん。みな安心して妾の後ろに付いて、勝利の勝鬨をあげるエキストラと心得ればよいぞ」

「し、しかし、しかしですよ、この浦島太郎はたった一人です! この身一つです! やれるわけないじゃないですか!」

 

『あ、それはもっともかもしれんなあ……』

『ちょっとイジメっぽい』

 

 勾玉と草薙の剣が呟くが、ムシムシ。

「浦島太郎、きさま何百年も竜宮城でグダグダと無駄飯食って惰眠をむさぼっていたではないか。本来なら、一日一人分と計算するところだが、ことは急を要する。一年を一人分とし、残りは戦をしながら考えてやる。さっさと必要人数分になって船に乗り組め!」

「そ、そんなあ( ゚Д゚)!」

 

 シャラララーーーーーン!!

 

 盛大なエフェクトがしたかと思うと、あっという間に浦島太郎は数百人に増殖して安宅船に乗り組んだ。

 アッチャン(草薙の剣)も思金神(勾玉)も感心するばかりで何もしなかったが、軍艦マーチで景気づけをしてくれたので、文句は言わないことにした。

 さあ! いよいよ、鬼ヶ島の最終決戦だ!

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚  部下に思金神(オモイカネノカミ)
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RE・かの世界この世界:085『ボルガの船曳』

2023-05-02 06:51:09 | 時かける少女

RE・

85『ボルガの船曳』ブリュンヒルデ 

 

 

 まるでボルガの船曳だ。     

 
 主神オーディンの娘にしてヴァルキリアの主将、堕天使の宿命を背負いし漆黒の姫騎士たるブリュンヒルデが……なんでこんなことをせねばならんのだあああああ!

 わたしのツインテールを二股の四つに分けて、それを我が下僕あるいはリトルデーモンとも呼ぶべき者ども、タングリス、テル、ケイト、ロキに曳かれ……それは見ようによっては我が魔力、我が威光にひれ伏す者どもを導いているようにも見えなくもないがな。

 しかし。

 その麗しき二股ツィンテールの上に石化した町長を載せて引っ張っている姿は、まるでボルガの船曳だ!

 知っておるか、ボルガの船曳!?

 帝政ロシアのころ、ボルガ川を遡上する船を引っ張っていた人足たち。

 数人から数十人の人足たちが、船の舳先から延ばしたロープを牛か馬のように肩や頭に掛けて、カシラの音頭に合わせて――エイコーラ エイコーラ もーひとーつエイコーラ――って船を川上に引っ張っていくんだ。あの奴隷みたいにこき使われたボルガの船曳を彷彿とさせる姿だ!

 こんなことをやるなら、父オーディンに命ぜられたままムヘンで幽囚の身であった方がよっぽどマシと思うぞ。

 並のツィンテールならば、バリバリと頭の皮ごと持っていかれてしまっていただろう。

 

 エイコーラ…………エイコーラ…………

 

「その歌唄うなあああ!」

「自然と出てきてしまう」

「ジト目こわ~い」

「ジト目とはなんだ! この体勢で振り返ることもできないんだぞーー!」

「背中でジト目が分かるしい」

 ケイトとロキが好き放題を言う。タングリスは気づかないふりをして、テルは肩を震わせ笑いをこらえているのも癪に障る。

「ほうら、峠を越えました、木の間隠れに泉が見えますよ」

「わ、分かってる……」

 タングリスの言いようは、子どものころに「お八つをくれぇ!」とむずかるわたしをなだめた婆やにソックリだ。

 くそ……無性にお腹の空く性質で、お昼を食べて三十分もするとお八つを欲しがるわたしに「ほら、あの時計の針が五センチも下がればお八つでございますよ」となだめおった。

「五センチとはどのくらいじゃ?」

「ほんの、これくらいでございますよ」

 そう言って指を広げて見せおった。あの時の婆やのオタメゴカシを思い出してしまう。

「ブリ、がんばれ! がんばれ、ブリ!」

 人間の姿になったポチが、目の前をチョロチョロ飛びながら励ます。

 健気なもので、その十センチあるかないかの体に紐を結び付けて引っ張っている。

 この健気さがなければ、右手の先をハエたたきにして叩き落しているところだぞ!

「がんばれ、ブリ!」

「ブリブリゆーな! 我はオーディンの娘にして堕天使の筆頭たるブリュンヒルデなるぞおおお!」

「じゃ、ヒルデ!」

「略すな! ちゃんと姫とか付けろ!」

「ブリュンシルデ……う、舌噛んだ」

「黙ってやれ!」

「あ、MPが戻った!」

 ケイトが嬉しそうに叫ぶ。ケイトのMPは歩くと回復するらしい。

 わたしは……怒ると回復か?

「町長をリペアしながら行けるじゃないか!」

「それなら四号を持ってこいいいいい」

「四号を取りに戻っている間に泉にたどり着けます」

 タングリスも容赦がない……クソ!

 

 そうしてニ十分。ようやくエスナルの泉についた。

 

「姫の御髪を戻してさしあげろ」

 タングリスの一声で、石化した町長を下ろし、頭皮ごと抜ける寸前の髪を解放してくれた。

「ウ、ウワーーーー!」

 姫! ブリ! ヒルデ! ブリュンヒルデ! 

 みんなが叫ぶ!

 急にツインテールの負荷が無くなったので、わたしは反動で泉に突進して飛び込んでしまった。

 
 ドッポーーーーン!

 

☆ ステータス

 HP:9000 MP:5000 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・60 マップ:5 金の針:0 所持金:1500ギル(リポ払い残高34400ギル)
 装備:剣士の装備レベル25(トールソード) 弓兵の装備レベル25(トールボウ)
 憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)

 
☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

 テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

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